≪四節;“復讐”を胸に―――≫
〔けれども―――これが、束の間の休息だったことは、さすがに否めなかった事でしょう・・・
それというのも―――例の、あのビューネイ某から借用した バトルスーツ の全機能をモノにし、
再びラゼッタに相見(あいまみ)えんとするカレン・・・
そして、そのことは当然こちらも―――・・・
地球の技術よりも、一歩も二歩も進んでいるカレンの バトルスーツ ―――・・・
とは云え、以前にも述べたこともあるように、それはラゼッタやビューネイ某からすれば、
いわば“お古”も同然だったわけなのです。
だから、<シャクラディア>と融合しているトロイメア城のセキュリティには、
潜入してきたカレンの姿が、有り有りと映っていたわけであり・・・〕
ラ:おやおや―――・・・またアポなしのご訪問かな・・・。
この前ので、よほど懲りてなかったと見える・・・。
カ:フン―――そう嘯(うそぶ)いていられるのも、今のうち・・・だっ―――!!
ガ ガッ〜☆
ラ:(これは・・・)フ―――フフ・・・・
なるほど、それはお飾りではなかったというわけか―――
それにしても不思議なものだな。
以前までは、そのレベルにまで到達していなかった君たちの科学が―――・・・
ナゼ、ここ数週で、こうも飛躍的に跳ね上がったのか・・・
カ:・・・気前のいい連中がいてね―――
何も、味方はあんた達ばかりじゃないという事さ―――!!
〔その存在は、この前と比較すれば、格段に手強くなっていました。
けれども・・・それは、以前のカレン―――と、比較したときの話し・・・
純正の、地球式の装備で身を固めていた、あの時とは違う―――
形式はとても古いけれど、宇宙の技術が使用されたバトルスーツ・・・
でも、それでも―――ラゼッタには、遥か遠く及ぶ事すらなく・・・〕
ラ:フフ―――素晴らしいじゃないか・・・君。
この前までは“ナメクジ”レベルだったのが、今では“ネズミ”レベルにまで昇ってくるとは。
カ:な―――なんだと??
ラ:そう―――カッカ来ずとも・・・今のは褒めてやったのだ。
ただ・・・“動く”ことにしか本能(のう)のない、<無脊椎動物>から、
少しは“考えて”行動をすることができる<脊椎動物>に・・・な―――
カ:このぉ・・・云わせておけば―――!!
ラ:・・・まあ、いいだろう―――ここは一つ、私自らがレクチャーして差し上げよう・・・
=真の闘争=
―――と、云うものを・・・な。
カ:・・・うっ―――なに? これは・・・?!!
ラ:そう・・・心配するほどのことではない―――
以前のより、ほんの50倍レベルアップするだけだ・・・
まあ―――とは云っても、これが私の全力の半分・・・と、云ったところなのだが―――な。
〔それは―――・・・その女性の、態度にも言葉にも表れていることでした。
悪くすれば、自分を馬鹿にしたような言葉も、以前からしてみれば想定外の進化を遂げた・・・
そのことに、“彼女”はほんのちょっとだけ その気 になった―――
そのときカレンは感じたのです。
ラゼッタが吐いた言葉の真意を―――・・・
しかし、そこにいたのは、脊椎動物の進化の頂点に立ちうる、霊長類である自分たち人類よりも、
遥かに高度な知能を兼ね備えた種族―――・・・
“全力の半分”とは云いながらも、その圧倒的なチカラの前に、
完全に呑まれた象(かたち)となってしまっていたカレンは・・・〕