<第二十一章;手折られたスプートニク>
≪一節;第三の視線≫
〔今までの、自分たちが有していた科学よりも、数段上のスペックを組み込まれたモノ・・・
それをしても、とても抗いきれるものではない―――と、そう判断をしたとき、
なんと、相手からは意外なる言葉が。〕
ラ:フッ―――それにしても、こんな君を惨めな囮役に選別した輩(やから)も、多寡が知れたものだな・・・。
―――そうは思わないか・・・先ほどからこちらを見ているヤツ。
〔そう・・・そこには、彼女たち二人以外の何者かが居り、
彼女たちの戦いの有り様を見ていた・・・
そのことに気付いたラゼッタが、自分の尻尾でカレンを捕捉したのも、そういう理由があったからなのです。
しかし、気になるのは―――その場にいたという、第三の存在・・・
すると、その者は、ラゼッタに促されたかのように、実体を表せ・・・〕
――ブゥゥン・・・――
ラ:―――・・・。(パッ)
カ:(ケホッ――ケホッ――!)
あ・・・あなたは―――?!
ビ:フフフ・・・・いや、申し訳ない―――
こちらとしても、覗き見をしよう・・・などという趣味を持ち合わせていなかったのですが・・・
ふと、そちらの彼女の物言いに興味を抱きましてね―――
ラ:・・・そういうお前、ついこの間まで、足しげく私たちの組織に足を運んでいた者だな・・・。
ビ:おや―――覚えていただけましたか。
それは光栄の至り―――・・・
ラ:フッ・・・なるほどな―――
つまり、私たち以外の 宙外(そと) より来た者たちが、もう一組いた・・・と、云うことか。
ビ:そういうこになりますかな―――シャンバラ・・・
いや―――『フロンティア』の飼い犬・・・ラゼッタ=アトーカシャ。
ラ:そこまで調べがついていたか―――・・・と、云うことは、お前たちが『ブラックウィドウ』!!
ビ:―――フン・・・(ニヤ)
ラ:――――!!
〔空間より実体を表せた者こそ、あのビューネイでした。
しかも、その応対の仕方も至極丁寧で、やもすれば紳士―――
そうとも取れないものであると感じた・・・そのすぐあとに、彼の本性が曝(さら)け出されたのです。
強者であるが故の、労わりのない言葉・・・
それが彼の隠されたる素顔である・・・と、気付いたとき、
ラゼッタたちが要注意しておかなければならない、ある組織の人間である・・・
―――と、同時に気付き始めたのです。〕