≪五節;強敵(とも)の危機を知るヴァンパイア≫
〔一方―――命辛々(いのちからがら)虎口を脱したカレンは・・・
彼女自身が抱いていた怨恨が、実は刷り込まれたものであり、間違いではないかと思い始めたのです。
すると―――・・・〕
誰:―――おい、そこでなにをしている。
カ:あ・・・あなた―――は?
誰:うん?僕か―――? 僕は・・・
マ:エルムドア=マグラ=ヴァルドノフスク―――
それより、この辺でここ最近、高度な戦闘があったように覚えるんだけど・・・
カ:・・・・・!!(ワナワナ〜)
マ:―――どうやら、その当事者のお一人のようだね。
でも・・・無理に喋らなくっても、喋ろうとしなくてもいい。
血を採れば判ることだからね。
血は・・・ウソを吐かないから・・・。
〔その場にばったりと出くわしたのは、あのマグラでした。
そんな彼―――血の気が退いたような、青褪めた顔色・・・をしている少年吸血鬼を見て、
カレンは更なる混乱に陥ってしまったようですが、
このままでは、何も知る余地などない―――と、そう判断をしたマグラは、
茫然自失となっているカレンの血を採取することで、
ここ最近彼女の身に、ナニが降りかかったのか・・・を、特定しようとしたのです。
しかし―――また、驚いたことには、彼の、マグラの血の採取の仕方というのが・・・〕
カ:―――血?吸血・・・? (ハッ!)まさか―――ヴァンパイア・・・
マ:おや、よくご存知じゃないか。
けども・・・直接噛み付きなどして血を採る―――などと云う、この惑星の書物にあるような低俗なことはしない・・・
なぜならば、その行為は僕の故郷ではもっとも低級な者達のやり方だからね。
僕のような、“伯爵”と呼ばれる、矍鑠とした地位にいる者は、そのような下卑た真似事はしない・・・
―――す・・・
・・・ぽたり ぽたり
カ:え・・・っ?! 指を、頚動脈にあてがっただけで―――??
マ:(ペロ・・)ふむ・・・うん―――?
カ:あ・の―――なにか・・・?
マ:――――ラゼッタ!!
〔吸血鬼である者が、血を採るという行為を・・・
その行為こそ、地球に古くからある伝奇小説『吸血鬼』の習性のそれだ―――と、感じたカレンは、
しかし、やたらと“吸血行為”をする者など、マグラからしてみれば最下級の土民レベルのしうるものだとし、
また、爵位などを持つ貴族階級の者達から見れば、甚だエレガントさに欠け、
興の殺がれる対象ともして、忌避していたことでもあったのです。
それに・・・誰彼かまわず、柔肌に牙を立ててもいいものではなく、
“吸血”をするにしても、自分が目星をつけた・・・まあ、これは、その吸血鬼のお気に入りになる、ということでもあるわけなのですが―――
その者に限られた・・・まさに、永遠の契約といっても差し支えない、崇高な儀式のようなものでもあったわけなのです。
しかし・・・思いがけないことから、当事者の一人でもあったカレンの血から、
同志の窮地を知ることとなるマグラ―――
そして、現場へと急行するのですが・・・
ですが、もうその場には、闘争の痕跡は残されていなかったのです。〕
To be continued・・・・