≪三節;打開策≫
〔そんな・・・カレンの凄絶なる過去を知り、“洗脳”という最も唾棄すべき行為の恐ろしさを理解しえた者は・・・〕
ブ:そうか・・・辛かっただろうな、カレン―――
カ:同情はいい―――それよりもこれからをどうするか・・・だ。
〔それよりも―――今回の・・・いや、ここ数回の侵入の件を、どうするか・・・なのですが、
侵入者の正体が割れた以上、隠し通しておくわけにも行かず、かといって辛い報告をしなければならないのです。〕
ブ:―――失礼します。
女:やあブリジット、それに・・・カレン、どうしたんだい。
〔その人は―――今まで巡察してきた、そのまとめを資料として残すべく自分専用の記録媒体に向かい、データリングを行っていました。
そこへ、今回の報告をなすべく入室してきた二人の職員に、その手を一時止めたのです。〕
女:―――なんだって? ラゼッタが?
ブ:ええ―――元々その専門であったカレンが指摘するのには、もうすでに彼女は・・・
女:そうか・・・よく判った―――カレン、ありがとう・・・
カ:それは構いませんが、これからはどう対処をいたしましょう。
始末をつける―――というのは簡単ですが、ここにはラゼッタに敵う存在がいるので?
女:始末をつける―――か・・・私はそうはしたくない。
カ:ですが―――“洗脳”を施されていては、もう元の関係には・・・
女:それは、確かに―――まあ、ラゼッタとは君たち二人よりも付き合いが永いから、失いたくない・・・と、いう感情もある。
けれど、それ以上に救う手立てがあるから、私はそうしない―――と、云っているんだよ。
ブ:救う・・・手立て―――? そんなことが出来るのですか?
女:ああ、出来るよ。
それに―――君たちが知っているのなら、もうそろそろあちら側から来るはずだ。
カ:(あちら側・・・?)相手の側から何か通知でも?
>しばらくお待ちください―――転送ポッドが開かれます。<
女:フフ・・・どうやら来たようだね―――
〔やはり―――事実を知るとその人は“信じられない”・・・と、云う表情をしていました。
けれど、ブリジットたちと違っていたことは、その事実に対して悲観的ではなく、
むしろそうだったとしても救う手立てがあるから―――と、云うのでした。
その言葉を、ブリジットたちは自分たちに心配をかけまい―――と、無理に取り繕っているのでは・・・と、そう思ってしまうのですが、
丁度そのとき、どこからかこの部屋に転送をしてくる者がいるらしく、それが誰かと思っていれば―――・・・〕
ブ:あっ・・・マグラ―――?!
マ:お呼びにより参上しました―――が・・・どうやらその様子では・・・
女:ああ―――予測通りだよ、マグラ・・・
マ:フッ・・・全く―――相変わらず世話の焼ける・・・
〔その人物とは、ラゼッタのことを他の誰よりも一番良く知る、あのマグラなのでした。
確かに、マグラはラゼッタのことをよく知る者ではありましたが、逆にブリジットは―――
この二人が良く顔をつき合わせては、喧嘩をしている光景を何度も見ているだけに、どこと無く不安がよぎらざるを得なかったのです。〕