≪二節;悪の胎動≫
〔ところ変わって―――地球の衛星である“月”と真反対にある宙域に、宇宙の闇を思わせる漆黒の艦影が・・・
その艦名の由来は、『悪意ある者』として知られ、同時に<ブラックウィドウ>の旗艦でもあった・・・
他人は皆―――しかも同業者でもある宇宙海賊でさえも、彼らと深くかかわりを持つのを畏れ、
その名は、全宇宙をして震撼せしめたという―――・・・
すなわち―――その艦の名を・・・
=リヴァイアサン=
・・・と、呼ぶ―――
そう、この艦の実質上の持ち主は、あのヱニグマ某という者であり、
地球の衛星“月”を駐留拠点にしているフロンティア所属の二艦、=ソレイユ=に=シャンバラ=とは対極の宙域に駐留していたというのも、
期せずして二つの勢力が地球に根付くのを狙っていたためであり、そのことはこれから地球上を舞台にしての争いがある―――
・・・と、取られても仕方のなかったことなのです。
つまり―――そこでは、ウィドウの上級幹部四人が、これからの計画を話し合っていたのです。〕
オ:ところで諸君―――・・・私はこれからフロンティアの連中に、直接ご挨拶をしたい・・・と、思っているのだが―――
ア:フン―――挨拶なんざまどろっこしい。
ついでにそこでひと暴れしてやろうじゃないか・・・
フ:短絡的だな―――卿は・・・今そんなことをしてしまうと、後の愉しみがなくなってしまう。
ビ:そうですとも・・・愉しみほど後に取っておくもの―――それに、弱い虫ほど嫐り甲斐があろうというものだ。
ア:ちっ・・・だがよ―――性には合わねぇんだ。
でも・・・まあ、そっちのほうもいたぶり甲斐もあって面白いんだがな―――
オ:フッ・・・まあ―――各々の趣向はまた別として、アウナス・・・これはお舘様からの命でもあるのだ。
ア:(ゴク・・・)お舘―――盟主様・・・
オ:いかにも―――あのお方は、これから一戦を交える者達の顔を、弑す・・・その前に見ておきたい―――とのご意向であらせられる。
ビ:フフ・・・また悪い虫でもお出ましになられたのですかな―――
オ:―――ビューネイ、その発言は不適切である。 即刻取り消したまえ。
ビ:これは・・・失礼をいたしました。
オ:ふむ―――・・・どうやら今回の件に関しては、卿らの間でも賛否両論のようだな・・・
ならば、この件に関しては私が預かり、現場ではこの私が直接指揮を執ることにしよう。
・・・それで、よろしいですな―――ヱニグマ・・・
〔計画の最終的な確認を行い、自分たちの盟主たる人物にその由を奏上しても、直接的に言語で何らかの応答は返されはしませんでした。
ただ―――寂寥たる闇の奥から、冷たきまでの微笑が返されたのを、ウィドウの幹部たちは感じていたのです。〕