≪六節;労わりのない言葉≫
〔―――ところ変わり、ウィドウたちの旗艦<リヴァイアサン>では・・・〕
ヱ:フフフ―――・・・どうやら終(つい)えたようですわね・・・
―――ビューネイ。
ビ:・・・お呼びでございましょうか―――
ヱ:たった今しがた、アレからの反応が途絶えました―――
ビ:オーギュスト様からの・・・
ヱ:・・・ビューネイ―――
ビ:はっ・・・
ヱ:すでに役に立たなくなった者の名など、呼ぶ必要はありません―――
常に敬意を払われるべきは、わたくしの身になり役に立つ者に関してのみ・・・
そのことを―――忘れたあなたではないでしょう。
ビ:は・・・はあ―――(ゴクリ〜)
ヱ:それよりもビューネイ―――=ディアブロ=の指揮は、今後一切あなたがお執りなさい。
せいぜい・・・アレのように下手は打たないことです―――
〔読者諸兄たちも、 本篇 においての=三傑=の冷酷ぶりについては、知っているはずでしょう・・・
しかしそれよりも遙か以前に、彼ら以上に性酷薄な物言いをする存在がいたのです。
今も―――ヱニグマは、自分に有益な利権をもたらさなくなった存在に対しては、さして興味を示さなかった・・・
それが例え、ウィドウの首魁となったヱニグマを長年支え続けてきた―――“右腕”的な存在を失ったときでも、
自分の右腕ならちゃんとついているといったような口ぶりで、なんら惜し気さえも見せなかったのです。
それはそうと―――今回のこの一件が相当に気に食わなかったジィルガは、
それでも今回の計画の発案・実行者を弑すまでには至りませんでした。
けれども彼女の強い意志とでもいうべき言葉は、このときとばかりに紡がれ出したのです。〕
ジ:私は―――愛するこの子を護るためならば、例え“神殺し”でさえもいとわない。
相手が誰であろうが、この子を傷つける者には容赦はしない・・・
ガ:それが―――例え私であっても・・・?
ジ:ええ―――例えお姉さまであっても・・・
ガ:それが―――この子自身であったとしても・・・?
ジ:・・・この子が、そう望むのであれば―――
ガ:そう―――・・・。