≪三節;慰め手≫
ブ:さて―――・・・あなたがこれからお会いしたいという、うちの名誉顧問なのですが・・・
それより、やはりあなたも宇宙から来た方なのですか?
ア:はあ?なんですか・・・それ―――
オレは紛れもなく、地球で育った地球人ですよ。
ブ:地球の生まれ―――にしては、随分とこちらの事情にお詳しいようだが・・・
では聞きますが、地球のどちらのご出身なので?
ア:・・・だからなんなんですか―――明らかにオレを疑っているように聞こえますが・・・
それに、オレの出身を聞いてどうしようというんです。
あんたもあの人の教えを受けているのならば、そんなのは愚にもつかないことだとなぜ判らない。
ブ:フッ・・・これは失礼―――いやなに、こちらもここ最近は立て込んできていまして、
名誉顧問も傷心を負ってしまっているのです。
ア:・・・どうりで―――
〔しかしブリジットは、アベルに対して初対面だったことから、すでに疑わしい者としての取り扱いになってしまっていました。
そのことをアベルが指摘すると、その理由を述べるにいたり、アベルも何かを感じ取ったかのような物言いに・・・
その言葉を聞いたブリジットは―――・・・〕
ブ:“道理で”・・・とは? どういうことでしょう―――
ア:あんた・・・あの人の近くにいながら、そんなことも感じないんですか―――
やはりオレがここに来たのは間違いじゃなかった・・・
ブ:私とて、あの方が気落ちしているのは良く理解できている。
それを“あんなこと”とは―――失礼じゃないかな。
ア:―――・・・。
ブ:・・・なんだ、その眼は―――
ア:・・・あんたは可哀想な人だ―――確かにここ最近で女禍さんと親しい間柄になったみたいだけど、
そんなことも判らないようじゃお互いが可哀想過ぎるよ・・・
ブ:なぜ・・・涕を―――それに?私も女禍も可哀想?
ア:・・・ここは―――以前の・・・太陽のように明るいあの人のいるところじゃない・・・
まるで陽の沈んでしまった闇のようだ・・・
〔そのときアベルは、少なからず感じ取っていたことを言葉にしてみました。
以前の・・・女禍の人柄を指すように 朗らかで明るい ―――それが今は、太陽が落ちた闇のようだと喩えたのです。
そのことを聞いたブリジットは、ただ驚くばかりでした・・・
確かにそのことはブリジット自身でも感じていたことだけに、見ず知らずのアベルからこの指摘を受けたことは相当にショックなものだったのです。
すると―――先ほどアベルの対応に当たった職員が・・・〕
職:すみませんアベル様―――ガラティア様からのお使いの方だとは知らなくて・・・
至急艦長に会わせますので、どうかよろしくお願いいたします。
〔そこでブリジットは、ようやくアベルという者が何者かを知ることが出来ました。
自分の盟友である女禍の実姉であるガラティアからの使いの者―――
しかも自分たちより以前に盟友である者のことをよく理解できていた者であることを知り、
少しばかり羨(うらや)む気持ちが顔をのぞかせたものでした。〕