≪六節;アベルのおしおきたぁ〜いむ☆≫

 

 

〔その“もう一人”は―――自分が未熟者だということを改めて思い知らされ、自分の殻に閉じこもったままになっていました。

 

自分が一番にご恩を感じなければいけない人に・・・

自分は刃を向けてしまった―――・・・

こんなにも・・・万死に値する行為を―――・・・

あのお方は赦してくれるだろうが、自分自身は赦すことが出来ない―――・・・

出来ることならば、自分自身がこの身を害して許しを乞いたいのだけれど・・・

 

自分には・・・そんなことをする勇気もない―――

それに第一、それが出来たとしても、あのお方を一層落ち込ませてしまうことになるかもしれない・・・

 

嗚呼―――ならば自分はどうしたら・・・この罪はナニによって贖(あがな)われるというのだろうか・・・

 

“死”以上の重い罰―――・・・

そう、例えば―――自分の尻尾・・・

 

〜むンず〜

 

そう・・・こういう風に強く握られ―――・・・

 

        れ?

 

・・・なんだか可笑しい―――今までのは私の回想のはず・・・なのに・・・

 

〜ぎゅむむぅ〜

 

か・・・っ―――回想・・・ではなくて? 現実に握られ―――

 

あひいぃぃ〜・・・

 

 

自分の腕を枕にし、猛省を行っているラゼッタ―――

そんな彼女も、大恩ある女禍に牙をむいてしまった報いを、色々と考えてはいたようですが・・・

ふとした自分の身体の変調―――らしきことに、違和を感じては見るものの、これは所詮自分の回想の一部なのだからと勝手に割り切ってしまっていたのです。

 

しかし―――この身体の気だるさは、まるで自分の弱点である アレ を力強くひっ掴まれているような感覚・・・

 

そう、それはもはや回想でもなんでもなく、現実そのものだったわけであり・・・〕

 

 

ラ:あ゛っ・・・あ―――(はぁはぁ) だっ・・・誰ですの゛・・・# わ、私の尻尾を掴んでいるの―――

 

ア:フフ〜ン―――ラゼッタ、どうやら君は君自身の弱点であるここを克服するのを怠ってしまったようだねぇ・・・

ラ:あへ? アベ・・・ル―――あ゛・・・あんたねぇ〜!#

 

〜ぎゅぅぅ〜

 

ラ:あぎいぃぃ・・・ご―――ごめんなさぁ〜い! 私が悪ぅございましたぁぁ〜〜!!

 

ブ:アベル―――君? これは一体・・・

ア:ああ、ここが彼女の弱点なのさ。

  ブリジットも良く覚えておくといい―――もしラゼッタが云うことを聞かなかったとき、こうすれば効果覿面・・・てなわけさ。

 

ラ:むぐぐ・・・そ、そう―――ガ・・・ガラティア様の仕業ね゛#

ア:ご名答〜♪ お師匠からはね、君へのお仕置きもよろしく承っているのさ―――

 

ラ:そう・・・それはどうもありがとう―――ね!!

 

 

〔そのことに我に返ってみると、側にはラゼッタの弱点をしっかりと握り締めていたアベルがおり、

当然ラゼッタもこの不当なる仕打ちに憤ってはみるのですが・・・

それは所詮無駄な抵抗というもの―――怒りに任せて飛び掛ろうとしても、その直前で強く握られてしまえば、

ご覧のように力が抜けてしまって、逆に謝ってしまう始末だったのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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