≪四節;女の執念≫

 

 

〔やはり―――アベルほどの男でも、最高レベルまでに達する悦楽・快楽の責めは、根を上げるしかなかったのでしょうか・・・

現実として、孤立無援だったアベルは、獣のような唸り声を上げてまで必死に責め苦には耐えていたのですが・・・

 

しかしそれはヱニグマとて同様でした―――

久しく焦燥というものを感じている―――その言葉に偽りはありませんでした。

 

そも、レベル30というのは、魔王級の悪魔や神に近い存在すら骨抜きにし、堕落せしめたほどのものなのに・・・

それが一介の―――しかも、こんな偏狭の惑星の、文化レベルも低いようなところに住む一原住民如きに梃子摺(てこず)らされるとは・・・

 

けれどもそれがヱニグマにとってしてみれば、させ甲斐のある相手だと云えたことでしょう―――

 

そして・・・ついに―――アベルは根を上げた・・・

責め苦に負け、ヱニグマに永久の愛を耳元で囁くまでになってしまった―――

 

・・・と―――そう、想われたのですが・・・〕

 

 

ア:へッ―――へへへ・・・何を云ってやがるんだ・・・バカヤロウ・・・

  誰が手前ェみたいな毒婦に・・・永久の愛を誓えるか―――

  このオレが心底惚れ・・・その愛を誓えれるのは・・・この世でたった一人だけだ・・・

 

―――判ったか・・・ヱニグマの・・・クソバカヤロウ・・・!!

 

 

〔アベルは・・・女の耳元で、確かにそう囁きました―――

そう、クソバカヤロウ―――と・・・

 

それがアベルが見せた最後の抵抗―――最後の足掻き・・・

 

今―――ヱニグマの整った鼻筋に、怒りによると思われる細かい縦筋か入った・・・

―――と、そう思った次の瞬間・・・〕

 

 

ヱ:ウフフフ・・・さすがはアベル―――このわたくしが見込んだだけのことはあります・・・

 

――だから――

 

                                                                                   

 

  今はお前が本当に慾しい―――

お前の肉体が―――

お前の精神(こころ)が―――

 

  そう―――喩え・・・お前という存在を二つに引き割いてまでも!!

 

 

〔畏るべきはヱニグマの所業か―――

つい今しがた、怒りによる表情を垣間見せたかと思われたのに、すぐさま掌を返したかのような、いつもの表情に戻り・・・

しかし、表情としてはそうであったとしても、吐く言葉はドス黒く変わっていました・・・。

 

アベルという存在を心底欲しがり、その肉体を・・・その精神を・・・そしてその魂をも・・・弄玩しまくりたいと思っていた―――・・・

 

そう―――初めてヱニグマという虚ろな存在が、アベルという明確な個人に興味と好意を抱き始め、

独り占めにしたい―――という願望が顔を覗かせ始めていたのです。

 

けれども・・・極限にまで追いこのれたアベルの言葉を見ても、真のアベルは自分のものにはならないと判断したヱニグマは・・・

現時点では誰も思いもよらなかった手段―――“存在の分割”に着手したのです。〕

 

 

 

 

 

 

To be continued・・・・

 

 

 

 

あと