≪六節;扶(たす)け手≫
女:お・・・おのれ〜〜―――ヱニグマ!
ヱ:(フ・・・)―――ん? この反応は・・・
〔そのとき突然―――何の前触れもなく、何者かがこの空間に現れてきました。
けれどもその何者かというのも、初めてではない―――いや、もうすでにここにいる存在の一つとよく似た存在・・・
――光る翼を戴き 権威の外套を羽織る者――
そう―――その場にはもう一人の執行官が・・・〕
女:この感覚・・・もしや姉さん―――?!
ヱ:・・・マエストロ・デルフィーネ―――なるほど、あなたがかのご高名な・・・お噂はかねがね耳に及んでおりますよ。
それで―――そのマエストロが、直々にわたくしの艦に何の御用なのでございましょうか。
ジ:フッ・・・知れたことよ―――さっさと裁きを終わらせて、お前たちみたいな宇宙のゴミを、本当の宇宙のゴミにするために・・・よ。
ヱ:ウフフフ・・・まぁあ怖い、マエストロからそのような言葉が述べられるとは、思わず身震いがして―――・・・
ジ:無駄なおしゃべりはもうおしまいにしない。
こちらも遣り残した仕事を放っぽといてきてんだから。
〔然して―――もう一人の執行官とは、やはり女禍の姉であるジィルガでした。
何事にも左右されず、正しきと思われた判断を基準に、須らく執行せしむ―――
即(すなは)ちその正義とは、自らが抱きたる理念であり矜持である・・・
その姿は、まさに宇宙の摂理の守護者に相応しい外見をしていました。
光り輝く執行官の服飾と―――光子力の翼・・・
そのどれもは等しくして、神の御使いである者と同義で取り扱われてきていました。
そして今―――“悪”と“正義”の刃は交じりあい・・・〕
ヱ:―――フ・・・
=インファナル・アフェア=
ジ:―――ムン!
コズミック・ストライク
理力の一撃
=ジオ・ダ・レイ=
女:うわっ―――姉さん・・・無茶だ!!
宇宙空間ではなく施設の内部でそれを使ってしまっては!!
〔二人とも初撃には、自身の持てる最高の奥儀にての応酬が繰り広げられていました。
そう―――“自身の持てる最高の奥儀”とは、初めから二撃目は考慮されていない、まさに全身全霊による闘争の有様なのでした。
けれど・・・そう―――それが出来たのは、何の遮蔽物もない宇宙空間でのこと・・・
しかしこの場所は、敵方とは云え艦という施設の内部・・・
動力部であるエンジンや、航行に必要な燃料―――それに敵に攻撃を加えるための爆薬や、それに准ずる危険物が満載されている・・・
しかもこの=リヴァイアサン=は、ジィルガ所有の=ソレイユ=に匹敵する巨大な艦であるが故、
もしこの艦が爆発―――或いは爆縮してしまうようなことがあれば、地球を中心として太陽系が銀河系から消滅してしまう危機すらある・・・
その危険性を女禍は訴えかけるのですが―――・・・〕