≪七節;愛を司る女神≫
ヱ:フ―――・・・どうやら現状の把握は、このわたくしとマエストロのみがしているようですわね。
女:―――なんだって?!
ヱ:考えても御覧なさいな―――いくら外観が美しくとも、そこに住まう知的生命体の意識の穢れを・・・
それにかの者たちは、過去から現在に至るまで同じような過ちを幾度となく犯してきた。
愛しき者のために奪い―――殺し合い―――騙し、罵り、嘲(あざけ)る・・・
もはやそのようなモノは、愛というには云うに余るのです!おこがましい限りなのです!!
あなたも・・・そうは思いませんか―――愛を司る女神・・・女禍
ジ:(こいつ・・・この子の特性を―――)
女:確かに―――・・・・彼らのやっていることは古代文明の興った頃からなんら変わりはしない。
そのことは私自身、各地の先人の足跡を見させてもらって判ったよ・・・
けれど―――!
・・・けれど―――彼らは、だからと云って真に 悪 に染まりはしない―――
どんなに奪い、殺し合い、騙し、罵り、嘲(あざけ)ようとも、決して純粋に悪には染まりはしないんだ!!
それを・・・そのことをもう一度信じてみようという気になったのは、あの蒼く美しき天体に住む者たち・・・
カレンやブリジット―――
そして・・・アベル―――
その彼を、お前は自分のものとしたいがために、存在を分割化したというじゃないか・・・
どうしてそんなことをしたんだ―――どうして!!
〔ヱニグマも・・・ジィルガも・・・もはや地球には目もくれる様子ではありませんでした。
蒼く美しくとも、そこに住む知的生命体の意識が・・・ココロが穢れてしまっている―――
けれど女禍は少しだけ理解をしていました。
彼らほど影響に左右されやすい存在はいない―――と・・・
ある時は“性善”の下に秩序を導き、ある時は“性悪”の下に混沌に導かれる―――・・・
そんなにももろい存在を、だからこそ女禍は愛してしまったのです。
けれども―――・・・〕
ジ:そんなことを説いても無駄よ―――“混沌なる悪”と呼ばれているこんな女に、正論をぶつけたとしてもね・・・
それに・・・私もこの女も、全力を出し切っていないのだから―――そうでしよう、ヱニグマ・・・
ヱ:あら、さすがに物分りがいいのですね―――マエストロ。
だってそうでしょう、なぜ・・・このリヴァイアサンの所有者であるわたくしが、マエストロの思惑通りに動かなければならない道理が?
ジ:フフン―――・・・さすがに、こちらの思惑通り動いてくれなさそうね。
ならば―――これでどう?
サン・シャイン
陽撃衝波
=コロナ・エクスプロージョン=
女:ね―――姉さ・・・
〔ジィルガが、自分たちが所属するフロンティアと拮抗する相手・・・ブラックウィドウのトップを潰す目的のため、
彼らの旗艦リヴァイアサンに現れたのは、すでにヱニグマの知れるところとなりました。
けれど、ヱニグマとしても自分の所有物を破壊されては叶わないとし、全力での闘争は避けられていたのです。
片や女禍は、もしこの二人が全力で闘争を繰り広げ、自分が見初めた水の惑星を消滅させたくないとし、
自分の思いを総て吐き出した―――・・・
けれども、愛する妹の哀願でさえも耳に入らないといったところか、ジィルガはまたもチカラの発現を行ったのです。
喩え、愛する妹の哀願でさえ耳に入れることなく、宇宙の凶悪を消滅させる機会はこのときをおいて他にないとし、更なる強力なチカラの発現を行使するジィルガ・・・
このままでは―――女禍が見初めた地球もろとも、消滅する・・・ものと思われましたが―――
ジィルガの真意はまた別のところにあったのです。
それというのも、今彼女が発現したチカラは―――・・・〕
ヱ:・・・やってくれましたわ―――マエストロの真の狙いは、女禍を連れ戻す・・・ただそれだけに限られていたとは。
〔ただ―――眩いばかりで、技の実態としての破壊力は皆無に等しい・・・
ですが、次の瞬間にはジィルガも女禍も姿を消していた・・・
つまり―――ジィルガは、ブラックウィドウの旗艦であるリヴァイアサンを壊滅させるために到来したわけではなく、
アベルを奪還するために無謀ともいえる行動を起こした妹を連れ帰るため、その場に現れたに過ぎなかったのです。〕
To be continued・・・・