≪三節;“混沌なる悪”の揺らぎ≫
〔―――ともあれ、姉の一言に一縷の望みを託した女禍は、事業の舵取り役が去っても自らが事業の建て直しを図ったのです。
その一方―――ロシア・サンクトペテルブルグ・・・ウィドウの本拠コキュートス内部では・・・〕
ビ:ヱニグマ様―――我々がいない間に、フロンティアの関係者を招き入れたというのは本当なのですか?!
ヱ:ええ―――本当のことです。
フ:なぜにそのような―――! 我々にとってはここは本拠のようなもの。
そこを潰されるとは考えられなかったのですか?!!
ヱ:―――フォルネウス、あなたよもや・・・このわたくしが敗れると思っているのではないでしょうね。
フ:え? ・・・いえ―――
ア:ほほ〜う―――ならば、何かお考えがあった・・・と。
ヱ:・・・少々―――最初にお会いしたときから気になることがありましてね・・・
そこで疑問を払拭させたあと、虜にしてあなたたちの慰み者にしてあげようと思ったのですが・・・
ビ:最初に―――とは、まさかあの時の・・・?
フ:どうしたのだビューネイ。
ビ:ふむ・・・アレは偶然とばかり思っていたのですが―――
以前、私が内偵を進めていたシャンバラ商会―――そこの取締代表と名誉理事が、
私が故意にヱニグマ様をお連れしたあるパーティに来ていたことがあったのだ。
そして、その名誉理事の方が、今回来訪したフロンティアの女禍―――と、云う者だ。
ヱ:フフ・・・しかもその者はノーブルエルフということです。
ア:ほう、ならば俺たちはもう少しで上等な躰を嬲り損なった・・・と、云うことだな。
ビ:(いや・・・コトはそう単純ではない―――なのにヱニグマ様は敢えて危険を冒された・・・
いつものこの方なら、考えにくいことなのだが―――)
〔その場所にはブラックウィドウの上級幹部である、ビューネイ・アラケス・フォルネウスの三人が集結していました。
それというのも、女禍の来訪があった―――コトに言及されていたのですが、
一人ビューネイだけは以前のヱニグマならば及びもつかない行動のように感じたのです。
しかし・・・それは推測だに難しいことでもありました。
なぜならば―――女禍とヱニグマには、ある・・・切っても切り離すことのできない 宿縁 のようなものがあったのだから・・・
しかも、そのことは後々になって、ある象(かたち)ではっきりと現れてきたのです。〕