≪四節;宗教法人{マハトマ会}≫
〔一方―――女禍と袂を分かったブリジットは、自身が秘かに立ち上げていた宗教法人{マハトマ会}に身を寄せ、
ブリジット自身が教主を名乗り慈善事業を行っていたのです。〕
ブ:あなた方にも呉々も申し上げておきますが、当会では“主”の愛と正義の名の下に名寄せを行ない、
それを貧しき者達に分け与えることを前提として立ち上げられた団体であるのです。
そしていづれ、あなたがたが施した慈悲は、あなた方の内なる善性を刺激し、必ずや“主”の御許に仕わされるのを許されるでありましょう。
〔ブリジットが立ち上げていた宗教法人は、上辺には主なる者の愛と正義を掲げていました。
けれども―――その“主”なる存在は明言化されてはおらず、不透明なままだったのですが・・・
名士の人間たちもブリジットの口の巧(うま)さに釣られ、<エホバ>や<ジーザス・クライスト>に代わる、第三の メシア≪救世主≫ として、
ブリジットの掲げる“主”なる者を信じ、その暁には自分たちのみが助かろう・・・と、利己的な救済を求めていたのです。
しかし―――この{マハトマ会}の真の目的というのは・・・〕
教:―――教主様、本日も多大な寄付金が各信者から寄せられております。
ブ:・・・ごくろう―――私はこれから所用で出かけるから、留守居役はよろしく頼む・・・
〔今日もまた―――教団信者より多大なる寄付金・・・およそ何千万という金額が寄付されてきました。
―――と、このように、信者から多額の寄付金をせしめるのは、この当時蔓延していた似非(えせ)宗教と似たり・・・だったようですが、
マハトマ会がそれらとは一線を画していたのは、その寄付金を使い国際的に活動をしている非営利医療団体への設備投資や、ある国家の福祉介護団体への寄贈―――etc・・・
人為的に見ても“性善”な面が垣間見れていたのです。
ところで・・・教主であるブリジットは、これから所用でどこかへ出かけるようなのですが―――・・・一体どこに・・・?
それは―――スイス銀行系のとある支店へ・・・〕
銀:これはブリジット様―――今日はナニ用でございましょうか・・・
ブ:―――すまないが、今回はこれだけの額を例の口座へと振り込んでもらいたい。
銀:―――ああ、ニルヴァーナ様・・・に、ですね―――ではこちらにかけてお待ちになられてください。
〔寄付金の一部を、“ニルヴァーナ”――――カレンの匿名口座へと振り込んだのです。
・・・と、このように、世界を股にかけて活躍する者には、その秘守義務において最高とされるスイス系の銀行を使うのは慣例化されたことでもあり、
以前から親しくしているカレンの口座を事前に聞き出し、寄付の一部・・・とは云っても、約数百万単位を振り込んでいたのです。
これを見てのように―――どうしてブリジットが宗教団体を立ち上げたのかが分かろうというもの・・・
そう、圧倒的に金の集まりがよかったのです。
しかも、宗教に拘る資金などは世界各国が共通して非課税・・・と、くれば、金銭さえ出していれば救われる―――などと、
あたら間違った救済を求めようとするブルジョアは、格好の標的であったといえたでしょう。
それにブリジットはお家柄―――小さい時から彼らのそういう性質を見抜いていました。
だからこそ、彼らが唸るほど持て余している財産を、自分の盟友のために有用活用しようとしていたのかもしれません。〕