≪二節:“龍”と“魔”≫
〔今・・・ウィドウに立ち向かった者に、“悪”の制裁が下ろうとした、その時―――
突如天空より、凄まじい稲光(いなびかり)が生じ、 落雷 と共に降臨した存在が・・・“二つ”―――?!〕
誰:ふう・・・ヤレヤレ―――出動、これで何回目だっけ?
誰:ぼやくな―――文句なら、元凶であるこいつらに云え。
魔:うぬっ?! も前たちは―――!
ス:(スターシア=ラゼッタ=アトーカシャ;“二つ”のうちの一つは、あのラゼッタ・・・と、くれば―――)
フッ・・・相変わらず醜い顔をしている―――
エ:(エルムドア=マグラ=ヴァルドノフスク;やはりもう一つは、マグラでした。)
へへ―――・・・そう云ってやるなよ、こいつらだってキメてるんだろうぜ。
ス:それよりもマグラ・・・さっさと片付けて、次へ征こう―――
こいつらが襲っているのは、なにもここだけではないのだから・・・な。
エ:はいはい―――しかしまあ・・・ラゼッタちゃんも律儀なもんだね。
第一、人間なんて年がら年中発情期で、いつでも子孫遺せるじゃないか・・・
オレ達が放っておいても―――・・・
ス:・・・では、マエストロ様にお前がそう云っていた―――と、ご報告申し上げよう・・・
それから・・・あと、私を ちゃん 付けで呼ぶな―――!
エ:ヤレヤレ・・・相も変わらず、厳しいねぇ〜〜―――
ほいじゃ・・・ま、さくさく終わらせましょうかね・・・
〔その“二つ”の存在とは、 ハイランダー であるラゼッタと、 ヴァンパイア であるマグラなのでした。
しかも、彼ら二人の出動の経緯も、上層部からの命令だったようで、人類がシェルター・プラントに住みだしてから毎日のように、
このようなことに駆り出されていることに、不満を漏らしていたのです。
そんな同僚の尻を叩き、主のためになそうとするラゼッタ―――今までに人類が死滅しなかった理由の背景には、そんな彼らの活躍があったからなのです。〕
ス:―――ただ今戻りました・
ジ:あら、ご苦労さま―――
女:それで・・・どうだったろう――――
ス:・・・やつらは、活動を緩めるどころか逆に活性化させてきています。
それに・・・正直申しあげて、私とマグラだけでは処理能力にも限界があります。
ジ:―――とは云っても、あなたたち二人が抜けているときは、私と女禍ちゃんとで対応に当たってるわけだし・・・難しいところね―――
〔今回ラゼッタとマグラに与えられた任務は、何ら問題なくクリアした―――・・・
けれどもその数が尋常ではなく、喩え腕のたつ二人が当たっても、総てが収まりきれることがなかったのです。
それゆえに、ついラゼッタのほうでも愚痴めいたことが吐かれるのですが・・・
何も、問題点というのは、襲撃騒ぎだけではなかったようで―――・・・〕
女:・・・それよりも、こちらは残念な報告しか上げられない―――
半年前に植えた芽が・・・全滅してしまったんだ。
ス:・・・そうですか―――やはり、もうこの土壌では作物は育たないのでは・・・
女:そんなことはない、事実シャクラディアより枝分けした木は、すくすくと育ってきているからね。
きっと―――何かの原因があるんだろう・・・早くそれを突き止めなければ。
〔十分な土壌―――十分な水分―――十分な光―――十分な施肥・・・
“十分”といえるほど充実していたはずなのに、育つ前に枯死してしまう作物たち・・・
加えて、焦りが焦りを呼んでしまい、至極簡単なことも見落としがちになってしまい、
その時の女禍もその落とし穴にはまり込んでしまっていたのです。〕