<第三十三章;最終意思決定>
≪一節;捻じ曲げられ行く宿縁≫
〔この度、人間たちを一つの集落へと移すことになった女禍・・・
その彼女を待ち受けていたのは、もう一人のアベル―――サウロンなのでした。
執拗に女禍を欲しようとする魔の手は、寸でのところでその忠誠を捧げんとする者達により阻まれ、
魔王に歯痒い思いをさせるものか―――と、思われたのですが・・・
実際には、意外にもサウロンはあっさりとその場を放棄したのです。
では、一体何者がマグラとラゼッタの相手をしたのでしょうか―――
それは、一つ考えられることに、ウィドウたちも女禍の護衛には彼ら二人が現れるものだと予測し、敢えてサウロンにはその場から退去させ、
代わって―――・・・そう、サウロンに代わって、マグラとラゼッタの前に立ちはだかった者達が・・・〕
ス:お前は・・・アラケス―――!
エ:それに手前ぇは・・・フォルネウス―――!
ア:なんとも・・・奇遇だな―――スターシア。
どうだ? 今からオレの下に来ぬか―――毎日下の胎(はら)でヒィヒィよがり狂わせてやるぞ。
ス:うるさい―――黙れ!! その前に・・・お前は―――
お前は、私の母星の至宝を強奪した罪により、その罪過を払わねばならない―――!
無論・・・お前のその命でな―――!!
ア:ククク・・・何ともつれない言葉よ―――では、お前の望み通り、お前たちハイランダーの至宝である、この ベルクラント の錆にしてくれるわ!!
エ:・・・よくおめおめとオレの前に、その小汚い面を晒せたもんだな―――
フ:フン―――おれがあのまま退き下がるものと思っていたのか。
思い上がりも甚だしいわ―――没落貴族が・・・
エ:―――るせぇ!! 手前ェだけは許さねえ!絶対にな!!
〔因縁浅からぬ者達―――ラゼッタとアラケス・・・マグラとフォルネウス・・・
この四者四様は、仲間同士でも知らない業の下に、無益な諍いを続けていたのです。
実力としてはほぼ互角―――しかし、激しい闘争の最中(さなか)に片腕を失ったマグラの有り様を見ても、
彼らのほうが苦戦を強いられていたのは否めなかったのです。
そして・・・これをきっかけに、これから100万年の後まで無益な諍いは、続けられていくこととなるのです。〕