≪二節;秘鉱・ジルコニアの強奪≫
〔―――それはそうと、あの場より去ったサウロンは・・・と、云うと・・・
彼らの本拠である、ロシア・サンクトペテルブルグにあるトロツキーの屋敷、通称<コキュートス>に戻ったものかと思われたのですが、
そうではなく―――その足である場所に・・・なんと、アベルの師匠でもあるガラティアの旗艦 ゼニス に寄っていたのでした。〕
サ:(フフフ―――プロフェッサーよ、貴様と貴様の弟子の研究していた成果・・・その総てを貰い受けに来たぞ。)
〔邪まなる野望を胸に抱き、サウロンはゼニス艦内にいました。
すると・・・当然、ゼニスのクルーと接触し―――けれども、そのクルーもサウロンをアベルと疑わなかったので、
サウロンが訊くままに、ガラティアとその高弟であったアベルが共同研究開発を行っていた、その成果―――
それ自体が意思を持ち合わせる秘鉱石、 ジルコニア の在り処を話してしまったのです。
こうして―――自分の実態を知られぬまま、ジルコニアが展示されている場所に到達したサウロンは・・・
それは―――眩いばかりに光を放つ、魅力ある秘密の鉱石・・・
隕鉄やアダマンチウムなど、宇宙に散在するあらゆる鉱物の長所・特性ばかりを融合させ、
ゼニス艦長であるガラティアの所有するアーティファクト ユニバース により研磨された、
この世にたった一つの“意志を持つ鉱石”――― ジルコニア ・・・
それを強奪するために、施されていた封を解こうとするのですが―――・・・〕
ガ:―――誰だいそこにいるのは・・・
―――お前は?!!
サ:むうっ―――しまった!
くっ・・・あと少しの所で―――だが、総ては無理でも一部だけでも貰い受けてやるわ!!
ガ:おのれ・・・させるか―――サウロン!!
〔あと一息・・・あと一息というところで艦内に警報が鳴り響き―――惜しくもこの艦の主を呼び出してしまったのです。
しかも―――“総てを知りし者”と呼ばれるまでのスキルを兼ね備えた、自らの師とも云える人物を前に、そうそう目を欺き通すことはできず、
須らく正体を暴かれたサウロンは、苦し紛れとばかりに完成をしていた秘鉱の一部を略奪し、素早くその場から離脱したのです。
それは・・・あっという間の出来事でした―――
実はこの時、ゼニス艦長であるガラティアもどことなく胸騒ぎを覚え、永年の研究成果である秘鉱が安置されているラボへと足を運ばせていた途中、
その胸騒ぎが的中するかのような、唐突な警報の鳴動―――そして胸騒ぎが確信に変わる頃、ラボの入り口の扉を開けてみれば、
そこには自分の高弟と瓜二つ・・・いや、高弟の姿を借りた騙り者を目にしたとき、思わずもまづい―――としたわけなのですが・・・
この時褒めるべきはサウロンでした。
ノーブルエルフの三姉妹の中でも、ガラティアが一番手強い相手であると判り切っていたこともあり、何とか彼女と接触しないようにしようとしていたのですが、
そう上手くいくわけもなく、けれども・・・だからこそ見つかっても、目的を強奪した後の逃走経路を用意しており、
ガラティアの制裁の手が自らに及ぶ前に、目的の一部強奪を達し逃走を図ったのです。〕