≪四節;猶予なき現場≫
〔女禍が――― 一番大きい姉と、ある約条を交わして60年後・・・
果して彼女は、姉との約束を果たし切れたのでしょうか・・・。〕
女:―――ここも・・・ダメか・・・
〔未だに―――緑一つ芽吹かぬ荒野・・・
この惑星の住人の仕業とはいえ、その暴走を食い止めることができなかった・・・。
けれど女禍は、そのことを差ながら自分の責任のように感じていました・・・。
それというのも――――女禍がある契機により、不遜なる国家を一つ滅ぼしてしまった・・・
結果、そのことで世界各国の“力の均衡”が崩れ、パンドラの箱のスイッチが押下される事態が続発してしまった・・・
しかしそれは―――まったくと云っていいほど、見当違いも甚だしかったのですが・・・
それでも女禍は、自分の責任のように感じていたのです。
でも―――まだあと40年はある・・・
そんな淡い期待を胸に、女禍はまた一から植樹をやり直したのです。
そんな折に―――・・・〕
ニ:―――おや、女禍・・・大丈夫?
女:えっ・・・カレン―――? どうして君はここに・・・
ニ:フフ―――どうしたか・・・は、ないでしょう。
・・・とは云っても、驚くのも無理はないか―――いえ、実はちょっとジルの頼みで・・・ね。
女:…姉さんの―――? ・・・何の用で―――
ニ:はは―――そんなに警戒しなくてもいいですよ。
ただ、困っている妹さんを助けてあげて・・・そう云われたんです。
女:そうだったの・・・ありがとう―――
ニ:―――それでね、切り札になるかどうかまでは判らないけれど・・・
遺伝子を大幅に組み替えた―――とはいっても、過酷な環境の下でも育つことができる種を開発してね・・・。
それをいくつか持ってきたんです。
女:・・・重ね重ね―――ありがとう・・・
私は…君の・・・仇のようなものなのに―――それなのに、こんなにもよくしてくれて・・・
ニ:それは云いっこなしですよ―――あれから60年経った今でも、20代の若さを保ったまま多くの研究開発に携われるのを考えてみれば、
こちらのほうが良かったかな―――と・・・
女:―――だとしても!! それでは・・・地球人でもあり、米国民であった君の意義は薄れてしまう・・・
だから・・・私は―――
ニ:―――だったら、そう思わせていてください。
思いのすれ違いと云うのは、誰でもあることですから・・・。
〔ふと―――シャクラディアを訪れた人物がいました。
その人物とは、ジィルガの遺伝子を組み込み、自身が新たなる種属 ハイエルフ となった―――ニルヴァーナ=カレン・H=ヴェスティアリでした。
それにしても、どうしてカレンがシャクラディアに・・・
その理由の一つとして、現在カレンが身を寄せているジィルガ所有の艦 ソレイユ で研究開発に成功した、
どんな過酷な環境でも耐え、芽吹かせることのできる種―――・・・
それを何種類か用意して持て来たのです。
そのことを女禍は、感謝しきれませんでした―――あたら仇敵でもある自分に、こうまで親切にしてくれる盟友に・・・
それをカレンは、照れくさそうにしながらも『もう昔のことだから・・・』と、済ませてくれたのです。〕