≪二節;襲撃を阻む影≫
〔ともあれ、ウィドウたちとフロンティアの、この惑星をめぐる所有権に端を発した争いは決着がついたわけではなく、
今まで混乱が収まるまで隠れ、その爪や牙を研いでいたのです。
では、どうして混乱に乗じなかったのか―――・・・
それは―――・・・〕
魔:グヘへへ〜―――それにしてもヱニグマ様も恐ろしいことを考えるものよ。
あの混乱に乗ぜず、ただ時を待て―――と、云われたのも、人間たちが恐怖に怯え、慄(おのの)き・・・
またその上に被せるように、モレたちの手によってそれと同等の恐怖を与えよ―――とは・・・
魔:ああ〜―――まさにそうよな…兄弟。
そちらのほうがより上質な闇を喰えることを、あの方は知っておいでになる。
さあ〜頂くとしようぜ―――今の今まで抑えつけられた所為もあって、どうにも溜まっているんだからなぁ〜。
〔確かに人間たちは、この混乱の前後―――云い知れない恐怖に怯えていました。
それに、シャクラディアに匿われたからと云って、そう云った恐怖までは拭い去れたわけではなく、
つまりはそう云ったところが云い知れない恐怖の実体でもあったのです。
そしてその恐怖は、確実に人間たちを追い詰め、襲い始めたのです。
すると―――・・・〕
エ:はんっ―――どうにもこいつら・・・マナーがなってなくていけねぇよなあ・・・
一体、どこのどなたに躾をされたんでしょうかねえ。
ス:それがヤツらと云うものだ―――今更どうこう云ったところで、何が変わるわけでもあるまい。
エ:おやおや―――ラゼッタちゃんたら、つれないお言葉・・・頂けないぜ〜そんなツンケンした態度―――
ス:うるさい―――黙れ、静かにしないとその牙ごと口を縫い合わせるぞ。
エ:へへへ・・・ま、それより何より、厄介者にはお帰り願おうぜ。
ス:フン―――調子の良い・・・
〔たった一つ地上に残されたコロニーを襲うため、ウィドウたちの魔人が押し寄せてきました・・・
けれどもそのことを予想していたかのように、二つのセキュリティーが発動―――
その二つのセキュリティーこそ、ヴァンパイアの“公爵”エルムドアであり、ハイランダーの“雷帝”スターシアだったのです。
この二人は―――師からの依頼によって、近いうちにウィドウたちの襲撃があるものと予測し、
しかも標的も一つに限られているとあっては、余計な考えを回さずに済んだものと見え、
優秀な手駒である二人に任せておきさえすればよいと思っていたのでした。
そしてそこでの二人は―――まさに縦横無尽・・・
互いの息もぴったり合い、師の期待通りにウィドウの魔人たちの侵略をことごとくに防いだのです。
ポールシフトが起こってから約10年・・・そのころの地球上の環境は、シャクラディアが巡らせた結界内での生活圏に限られていたため、
以前のように恵まれているとは云えませんでした。
しかしそこを、ウィドウたちは生き残ったわずかな人類に、さらなる恐怖を植え付けるため、幾度となく襲撃を繰り返してきたのです。
けれどその度ごとにヴァンパイアやハイランダーに阻まれ・・・
ですが―――襲撃していたウィドウの魔人たちとは云っても、所詮はただの雑魚、
ウィドウの幹部やその首領であるヱニグマの実力は、さらに上へとあるのです。
だからこそ早期に総力戦に持ち込みたい―――と、意気を逸らせるのですが・・・
一方―――ウィドウたちの旗艦リヴァイアサンでは・・・〕
ヱ:状況は―――どのようになっております・・・。
ビ:総てにおいて順調です―――ヱニグマ様・・・
ア:度重なる襲撃のおかげで、脆弱なる者達の恐怖もピークに達してきておりまする・・・
フ:フッ―――こちらが成功しようとしまいと、関係のないことなのに・・・ご苦労なことよ。
あたら雑魚共を嬲って勝利者気取りでいればいい―――
ヱ:ウフフ―――頃はよし・・・それでは、主演女優の登場とまいりましょうか・・・。
そして―――わたくしの欲するモノを総てこの手に!!