≪三節;女の企み≫
〔総ての元凶に通ずる者は、ただ時を待っていました―――
自分たちが穢したと云えなくもないこの惑星を、また別の者の手で掃除させ煩雑とした塵芥の様な細かき者達の数を激減させた―――
ウィドウ(自分たち)ではなく、フロンティア(他の者達)の手でそのことをさせれば、さぞかし自分が欲する彼の者も堕落させ甲斐がある・・・
そして相対峙したとき、きっとあの者はこう云うだろう―――
――お前たちのせいで、この惑星は様変わりしてしまったのだ――
―――と・・・
そこをわたくしはこう云って差し上げるのだ―――
――そうではない・・・この惑星を様変わりさせ、この惑星に住む生命体の数を減らせたのはあなたたちの方だ――
―――と・・・
そうすれば、あの者の心は折れ、わたくしの弄玩されるがままに・・・
なんと心地がよいのだろう―――あわよくば神にも相当する高潔なる種族を堕落させるというのは、この上ない快感―――!
それに、マエストロとプロフェッサーの二人を一度に相手にしたとしても、
こちらには切り札とも云うべき、あの二人が溺愛してやまない妹がいるのだから、手を引かざるを得ない・・・
そして、こちらにばかり良い条件を呑ませ、フロンティアの勢力をこの惑星より追い出すのだ・・・
欲望の―――業の深い“純粋なる悪意”を持つその女は、自身の欲望を得んがためにあらゆる事態を想定して策略を練っていました。
そう・・・“あらゆる事態”を―――
その中には、もし“万が一”―――自分が敗れる事態を想定した上で、ある準備も欠かせてはいませんでした。
そのうちの一つが、自分の欲望の一つでもあった女禍の想い人アベルを鹵獲し、彼を堕落させた上で創り上げたサウロンに後事を託していた・・・
―――と云うのは、後世のことを見れば容易に想像がつくものでしょう・・・
そして―――・・・
そして―――数奇なる宿を持ちうる者同士は、総ての決着とその 宿 を終わらさんがため・・・
闘争のフィールドへと立つのでした。〕