≪四節;消え逝く宿命の者≫
〔女禍の・・・愛しき宿敵のチカラの総てをその身に受けた者は―――
慈愛とも狂気とも取れたチカラの奔流に呑み込まれ―――・・・
次第に―――その、存在としての終焉を迎えていました。
何とも心地よい―――爆ぜるでもなく、また苦しみを生むものでもなく・・・
女禍よ・・・あなたは、こんなにもあなたを苦しめたわたくしにでさえも、その慈悲を投げかけようと云うのか・・・
総ての 悪 を睨みつけながら、その 悪 でさえも憐れみ愛しむ―――・・・
嗚呼・・・やはり、間違いではなかった―――
わたくしが・・・あなたが・・・お互いを引き寄せあった理由―――それこそが・・・
ヱニグマの存在は、女禍の放出したチカラの影響により、次第に霧散していこうとしていました。
そして、遠ざかっていこうとする意識の狭間で、今回自分との闘争に勝利した者の表情を垣間見たとき、
いつもの・・・あの優しい 愛の女神 がいたのです。
その間には、彼女たち二人の会話と云うものは、全くと云っていいほど発生はしていませんでした・・・が、
互いにこうなることが判っていたかの如くに微笑みを交わし合い―――
ヱニグマは 個 の終焉へ―――・・・
女禍はまだしばらくその場へ、佇んでいたのです。
すると―――闘争が終結したのを然も知っていたかのように、リヴァイアサンを引き寄せる強大なチカラの作用が発生していたのです。
その正体とは、なんと―――・・・〕
女:あれは・・・姉さんの艦、ソレイユ―――!
・・・そうか、この艦はソレイユに引き寄せられているんだ!
そして・・・これでなにもかも―――いや、これで今回の局面(フェーズ)は終了―――
これからまた新たな展開を紡いていくんだね・・・
〔漆黒の艦影―――リヴァイアサンを引き寄せていたモノこそ、ジィルガ所有の艦ソレイユなのでした。
そう・・・ジィルガは、地上での戦闘の他に、宇宙での戦闘も視野に入れていたのです。
闘争の終結―――万が一と云う事もないけれど、妹が勝とうが敗けようが、敵であるウィドウの旗艦リヴァイアサンだけは潰しておく必要があった。
これ以上の不手際は増やすわけにはいかない・・・地上では勝ち逃げをされ、また宇宙においても禍根の因(もと)ともなるような、
憂いの種までも残すようなことをしてはならないと思ったため、手を打っておいた苦肉の策でもあったのです。
そして―――宇宙でも屈指の巨大戦艦ソレイユの一斉砲火を浴び、漆黒の艦影リヴァイアサンは、
地球の衛星である月の裏側に、その禍々しき姿を沈めていくのでした。〕