<第五章;破局点(カタストロフィ)

 

≪一節;“彼方”にて見守る者≫

 

 

〔今現在、この地球上に存在しえない、高等な技術を手中にするため、その者は接しやすい言葉と、未の皮を被ってきました。

 

けれども、その―――騙される・・・と、いうことに、全くの免疫を持ち合わせていなかった者は、

自らの身を、その者達に委ねた途端―――その者達は急に掌を返したように豹変をし、

以前から目の上のコブ的に思っていた存在たちを、業火の下に焼き尽くしたのです。

 

 

それを見た・・・未知なる高等技術を有する者は、丁度乗り合わせていたヘリコプターの扉を・・・・

上空にいるというのにも関わらず―――開け広げて、またもあの存在・・・“ツバサを持ちし者”に、なったのです・・・。

 

そして―――その去り際には、この“怒り”に抗える措置をなしておくよう、勧告しておいたのです。

 

 

それを―――・・・それを、遥か上空より、臨んでいたこの方は・・・〕

 

 

乗:女禍執行官の≪カレイド≫の質量、いまだ増大―――

  かの特異点に、執行官形態(エクスキューショナー・モード)で現れます!!

 

ジ:ふぅ――――・・・。

  (まさか・・・第三者の介入で、あの子を本格的に怒らせることになるなんて・・・)

 

  仕様がないわねぇ―――全く・・・

 

 

乗:女禍執行官、彼らと二・三言葉を交わしたあと、炎の中に降り立つ模様です。

ジ:(ぅん?)それ―――って、今すぐに、あいつらヤッちゃわない・・・ってこと?

 

乗:―――と、いうことになります・・・。

 

ジ:ふぅ〜〜―――ん・・・。

  (ふふ―――、でも、まぁ・・・自分の知っている者達が、あんな風になっても、

『怒りに任せて〜』・・・と、いう具合にならないようだし―――少しは成長したという徴(しる)しのようだわね。)

 

乗:―――艦長、先程あの者達と、女禍執行官が交わしていたモノが判別しましたので、お聞きになりますでしょうか。

 

ジ:ええ―――そうね・・・こちらに廻して。

 

 

〔その宙域に漂っていた存在―――・・・

それは、かの超大国の偵察衛星などではない・・・全長が、12,795kmもある人工の建造物―――・・・

いや、しかしそれは、よくSF小説や、映画などで知られる『宇宙船』そのものだったのです・・・。

 

 

そこで―――この艦・・・《ソレイユ》の持ち主であるジィルガは、その・・・傲岸不遜なるものの仕業で、

自分の愛するべき妹が、本来あるべき姿になった事に危惧をしたのですが・・・

次の、この艦の乗組員からの一言で、どうやら寸でのところで、感情に流されるまま―――と、いうのは抑えられ、

一縷の希望みを託して、火中に降りていったのを知ったのです。

 

そのことには、驚きもし―――また、嬉しくもあったのですが・・・・

乗組員が、あの時になされていた会話の一部始終を拾い上げ、《ソレイユ》艦長のジィルガに廻したところ―――・・・〕

 

 

ジ:あらら〜〜〜―――・・・(がくう〜↓)

  なぁンだ・・・結局、遅きにしろ早きにしろ、お仕置きしちゃうんぢゃない・・・。

  困っちゃったもんよねぇ〜〜―――・・・(ほぅ・・・)

 

 

〔『執行官』(エクスキューショナー)という者は―――周囲の動向、世情等に流されることなく、

またそれは、自らの感情を抑えるというのはいうまでもなく、然るべくしてあるべし―――・・・

 

それは―――宇宙の摂理を護る者としての宿命(さだめ)であり、

それは例え、自分の大切に想っている者が、何者かの手にかけられた―――と、いうことであっても、

『法』の倫理の下に裁きを行い―――且つ、冷静である・・・と、いうこと。

 

 

では―――果たして、“その時”の女禍には、それがあったのか―――?

それは・・・ジィルガのあの科白にも集約されていたのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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