≪三節;マエストロ≫
〔しかし―――怒りに我を忘れてしまっていたこちらでは・・・〕
禍:ハカイ―――! ハカイしテヤる―――!!
カレイドよ、『火』理力、ソの総てヲ我ニ!!
ピキィイ――――ン☆
=『火』力最大顕現=
〔“ゲヘナ”―――無色透明の炎。
火は、一般的に 赤色 ではあるが、高熱になるに伴い、次第に 青色 へと変化していき、その最も中心部=最高熱部だと、白色・・・
つまるところの“無色透明”に、なるのだという。
しかもその“熱”は、総ての『固体』を『液体』にかえることなく『気体』へと 気化 させるものだともいわれている。
そう―――女禍・・・いや、禍神は、その場で岩(融点は約二万度)が蒸発するほどの 火 の理力を放ち・・・
でもそれは同時に、老朽化したこの核ミサイルの誘爆をも伴ってしまうわけですが・・・
しかし、もはやそんなことは禍神の頭の中にはなかったのです。
それでは―――このままこの地球は滅んでしまう・・・?
いえ―――実はこのとき、もう一人・・・禍神と同レベルのチカラを有する者が、その場に現れていたのです。
でも、それは紛れもなく―――〕
ジ:――――・・・。
ヴァーミリオンよ、我が名 エスペラント=デルフィーネ の名において認証します・・・
『風』と『水』の理力を解放させよ―――
〔“イペラゴキモティス”―――別名をして『超伝導』と呼ばれるある種の物質は、
<臨界温度>という、ある特定の温度以下で、電気抵抗を失い、異常に電気が流れやすくなるという。
しかも、そこには超高密度の電磁波が発生し、結果、強力なそれは原子核反応の熱すら封じ込める作用があるといわれている。
そう―――その存在こそ、すでに<執行官形態>になっていた、女禍の実の姉・・・ジィルガだったのです。〕
禍:ぐうゥゥ・・・ワレのチカラを・・・封ジ込メた―――オ前はナニもノ・・・
ジ:――――・・・。
(かわいそうに・・・すでに姉である私を、忘れてしまっているようね―――
それに・・・超伝導の作用のあるあの球体が、核反応熱を封じ込めるには、まだもう暫らく時間がかかる・・・
その間・・・この私が時間を稼がなくては―――)
禍:コの―――チかラ・・・ヴァー・・・ミりおン。
マさ―――か・・・姉ェ・・・・
ジ:―――!!
(葛藤が・・・“揺らぎ”が生じ始めている?! ひょっとすると暴走を止められるかも―――)
女禍―――??
禍:――――・・・。
ジ:(えっ―――?!)
禍:ヌぐァアあ―――!! 許サナい! 愚かシキ者共ニ加担スるヤツ―――!!!
=『風』力最大顕現=
ジ:(ギクッ――!)(そん―――な・・・アーティファクトの力を借りることなく、顕現を・・・?!!)
い・・・いけな―――(はっ!!)
禍:(ニャ)―――カカッたナ・・・
〔“アーク・エネミー”―――接近戦での奥義の一つ。
下方から上方に突き上げる“型”は、容赦なく相手の身体を貫く―――・・・
もはや―――その者の自我は失われつつありました・・・。
それが例え、そこにいたのが敬愛する実の姉であったとしても―――・・・その者は何一つ容赦などしなかったのです。
しかも―――自分のチカラ・・・顕現の源である<アーティファクト>『カレイドクレスト』を介することなく、発動させる・・・
“フリ”をするという狡猾さを兼ね備え―――そこで、今、自分に対峙する者に、油断が生じるであろうことを判った上で・・・〕