<七章;君―――死に給う事莫れ・・・>
≪一節;秘奥儀≫
〔“禍いの神”―――【禍神】なる者と、自分たちの“師”である者が、互いに火花を散らしあっている中、
ここ≪ソレイユ≫では、一喜一憂している者達がいたのです。
その出現当初から、禍神の放った攻撃を封じ込めた存在も、なんとも狡猾なる遣り口から、
直(じか)に身体に拳を受けてしまった者をみた、二つの反応は―――〕
ラ:きゃああ〜〜―――ッ!!
マ:(そ・・・そんな―――)せ、先生!!
〔自分たちの“師”たる者は、その総てにおいて優っていました。
それは二人とも判っていたこと・・・けれど、もう一人の―――“師”と同等の能力(チカラ)を有している存在が、
まさか“相克”なる存在だとは思いもよらなかったのです。
だから―――禍神にその身体を貫かれたとき、皆“信じられない”という表情をしたものです。
一方――――・・・〕
禍:――――――・・・・・・・・。
ジ:(あれを・・・・試してみる事としましょうか―――)(ぼたぼた〜)
〔自身の身体に穴が開き、そこから溢れ出る血潮で、彼女の左の下半身は=蒼=に染まりつつありました。
しかし―――そうであっても、目の前の存在・・・【禍神】からは眼を逸らす事はありませんでした・・・
なぜならば―――次に“何か”があった瞬間(とき)こそが、この 戦闘 の終着の意味を成していたから・・・。
すると―――こちらの方でも、やや変化が・・・〕
禍:――――・・・。
《・・・・あれは―――・・・“血”? それに・・・これは――――
わ・・・私は、一体ナニを――――???》
ウ゛・・・・
ジ:(隙あり―――!!)(クワ!)
=裏面 阡弐佰参拾漆式=
スター・ゲイザー
〔少しばかり自我が快復した―――・・・それは、時間の経過によるものか・・・血の酸鼻なる匂いからによるものなのか・・・
それは判りませんでした―――・・・
ただ一つ云えたことは、その僅かながらに生じた隙を、相対峙していた者は見逃さなかった―――
突然生じた少しばかりの、自分にとっての“天佑”―――これを最大有用活用すべく、その者が唱えたモノとは・・・
自分たちが持ちうるモノを介することなく、チカラを発現できる術―――・・・
自分たちが持ちうるモノを介したときほどの威力を、持ち合わせていないにしてまでも、
『簡易的』に発現するように研究していた<成果>を・・・自分の妹でもある、禍神に向けて放出したのです。〕