≪二節;重々しい口を開く者≫
〔それから―――長々と議論は続いていくのですが・・・一向にして煮詰まる気配は見られず――――
すると、この会合当初より、意見の一つも交わさなかったこの人物が――――・・・・〕
ブ:・・・―――下らん。
サ:ぅん―――?
ル:どうしたというのだね―――ブリジット。
ブ:“下らない”―――そう云ったのです。
まさか―――今回のこの会合、以前にもなされた事の繰り返し・・・で、『お終い』というのではないのでしょうなァ・・・。
ギ:―――なんという言い草を・・・
ト:口が過ぎるのではないかな―――ブリジット。
ブ:・・・では、一言云わせて頂くが―――
この資料にある=J=の特定については、すでにあがっているので?
―――それに、最初の爆発は“東”のほうである・・・ことは分かるにしても、
ならばなぜ―――あの大国が保有していた総ての核が・・・
それも、東部のあの地域で爆発を起こした僅か数秒後に―――誘爆するような象となったのか・・・
この私の問いに、誰か答えられるとでもいうのですか―――
ル:――――・・・。
サ:――――・・・。
ギ:――――・・・。
ト:――――・・・。
ブ:・・・全く―――事象の本質を話し合わず、貴重な時間を費やしてきた事の結果がこれとは・・・。
とてもではないが、付き合いきれません――――退出させていただく・・・
〔そう―――それこそはまさに本末転倒。
今までそこで話し合われた事柄も、ある意味では重要だったのですが、
『本題』―――“東部”の地区だけの核爆発が、ナゼにそれに呼応するかのようにして、
残りの各州にて保有していたモノまでが誘爆してしまったか・・・。
そのことや―――数日前になってやっと回収することが出来た、米の偵察衛星―――
その衛星が、ペンタゴン内の総ての監視カメラを通して捉えた映像の一部・・・
その不可思議なコスチュームの左肩部に記されていた、一見してアルファベットの=J=ともとられる文字・・・
また、それを抱く人物―――・・・
そのことが解決していなかったのです。〕