≪四節;テレフォン・ショッキング≫
〔“大事な会合”―――と、位置づけはしていても、結局なんの実入りもなかった・・・
こんな事なら、あんな者達の前に出るよりは、今、執事から申し受けられたように、
ここヤルタから近場にある、自分の家の所有している別荘代わりの“城”の購入希望者と会ったほうが良かった・・・
―――と、悔やみはするのですが、なんとも律儀にもその客人は連絡先を残しており、
ブリジットはそこへ連絡を入れたのです―――ところが・・・〕
―――はぁ〜〜い・・・もしもしぃ〜? なぁに―――
ブ:(・・・何だか、印象とは随分と違うようだが―――)
―――ああ、もしもし、私はあなたがこのほど購入を希望されている、城の持ち主である者なのですが・・・
―――はぁあ〜? 城ぉ?? ・・・・ははぁ〜ン、あの子だね―――
わ〜〜かった―――そんじゃあ回線まわとくよ・・・
ガチャッ――☆
ブ:あッ―――?もし・・・もし・・・(ツゥルル〜)(回線が―――繋がっている??)
ガチャッ――☆
―――はい、どちらさまでしょう。
ブ:(繋がった・・・)ああ―――私は、このほどあなた様がご購入を希望されている城の持ち主・・・・
――すると――
――もぉ〜〜〜っ!ナニをするのよ!!≫
――なんだよ・・・少し掠っただけだろう?≫
――ま゛っ・・・掠っただなんて・・・≫
あんた、私のここが弱いの知ってて、ワザとやったんでしょうッ!!
いい〜え―――きっとそうに違いないわ。
――それは言いがかりというもんだろう・・・ラ※□/・・・≫
全く―――少しの事を大げさに解釈するだなんて、
君は少しもエレガントではないな。
――な゛っ・・・なんですってぇえ〜っ?!!#≫
―――コラっ!うるさい!お前たち・・・
今、話をしているここの持ち主の人と
カラァ〜ン♪≧
会話が出来ないじゃあないか―――!
カラァ〜ン♪≧
喧嘩なら向こうへいってやりなさいっ―――!!
――ええ〜〜っ・・・・・・はぁ〜い。≫
――なんでボクまでぇ〜〜―――≫
ブ:(・・・・今の、鐘の音??)
―――ああ・・・申し訳ありません。
ちょっとこちら側で粗相がありまして・・・
それで―――あなたがこの城の持ち主なのですね。
ブ:(・・・それに、今確かに“この城”だと??)
―――あなた、いまどこにいるのです??
―――はい? ですから、あなたがお持ちである・・・
ブ:そンな事は聞いていない―――!
どこの国のなんという城にいるのです―――?!!
―――ええっ・・・確か、ルーマニア共和国の・・・
ブ:トロイメア城―――ありがとう・・・。(ブツッ――)
セバスチャン―――大至急ルーマニアの私の城へ急行してくれ!!
〔当初―――コンタクトが取れたとき、ブリジットはわが耳を疑いました。
―――と、いうのも、自分が執事から聞いて、その人となりなどを想像してみるには、
どこか奥ゆかしそう・・・だったのに、そこに出ていたのは、とても不機嫌そうで、やもすれば寝起きとも取れないような物言い・・・
でも、何のことかの用件をいうと、すぐに何のことかは察したらしく、すぐさま別の人物と変わったのです―――
すると、今度こそは件の購入希望者らしく、自分の想像にも当てはまった、
実に慄然とした物言い―――ですが、すぐ近くで幼い者同士が喧嘩しあっているのを聞き取り、呆気に取られていたところ・・・
すぐ近くでなったチャペルの音と―――今、この購入希望者がどこにいるのかが判った時・・・
ブリジットはこの購入希望者にあうために、ウクライナにある英国領事館を目の前にしながら、
隣国のルーマニアへと一路急行したのです。〕