<第一章;女皇への疑惑>

 

≪一節;歓喜湧く中で―――・・・≫

 

 

〔かつてはガルヴァディア大陸の穀倉と呼ばれ、カルマの軍事的・戦略的重要拠点の一つでもある「ハルナ城」が陥落(おと)された事で、

一部焦りを覚えたカルマ首脳陣は、一時的停戦を余儀なくされ、そのことをパライソに打診をしたところ、かの国も受諾をしたものでした。

 

しかし―――その理由というのも、長期化をし始めた争乱を女皇が拒み始めたのも、大きな理由の一つでもあったわけなのですが、

やはり―――兵も将も負傷者が多く出始め、前線へと送る補給物資も不足してきたから・・・というのが、カルマからの申し出を承諾せざるを得なくなってきたところのようです。

 

 

それでも―――・・・一時(いっとき)の平安と、勝利を勝ち得た事実を知らせるため、

女皇自らが皇城・シャクラディアのバルコニーに立ち、歓喜に沸く国民たちに、声援<エール>を送るのでした。

 

その健気なお姿を鑑み――― 一安堵を吐く男女の影が・・・〕

 

 

婀:あなた―――・・・見てくだされ。

  城の広場に集まる、民たちのあの倖せに満ち溢れた表情の数々を・・・

タ:婀陀那―――・・・

  だが、これしきで充足してはならない・・・此度の停戦の締結は一時的なものであり、戦そのものは未だ終わりを見せてはいない―――

  カルマは、この停戦を機に、兵の補充や物資の補給を推し進める事だろう・・・

 

  このワシに、もう少しばかりの知恵が備わっていたなら、カルマの二大要塞、「ジュデッカ」「マディアノ」までも陥落(おと)せていたのだろうに・・・口惜しいことだ―――

 

婀:あなた―――それはあなたの所為ばかりだけではありませぬ。

  あなたの奇計を生かすも殺すも、あとは軍を束ねる将の器・・・その将たちを束ねる大将軍である妾こそに、その責はありまする。

 

 

〔その二つの影―――というのは、この国の「大将軍」である婀陀那=ナタラージャ=ヴェルノアと、

その夫であるタケル=典厩=シノーラのものでした。

 

その彼らは、戦勝ムードに沸いている今の時勢を「善し」とは捉えておらず、未だハルナ城しか陥落(おと)せなかったことに、焦燥・・・または遺憾の意を表していたのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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