≪三節;伝説の将 斯く語りき―――≫
〔その二人は、前(さき)の戦役よりも以前にパラ・イソに参入してきた新参の将―――なのですが、
その実の正体とは「帝国の双璧」の「鑓」と「楯」・・・と、いう、史実にも残る雄将なのでした。〕
エ:や〜〜れやれ―――いいのかねぇ〜、こんなに憂かれ浮き足立っちゃってサ。
ヱ:まあ、仕方があるまい・・・。
ようやく勝てたとは云え、内容としては際どいものが多かったのだ。
だが―――今回ばかりは違う、私たちが復活していたという事は、もう既にあちら側にも顕在化したはず・・・。
此度の停戦は、そのことによる対抗策を講じると見なければならない・・・。
エ:ナニ小難しいこと云ってんだか―――
ヤッちまえばいいのサ―――なにしろ、「鑓」に「楯」が復活したんだ、恐れるものなど何もありはしないさネ―――
ヱ:・・・単純だな―――お前は。
エ:悪かったねぇ―――単純で。
・・・何か気になることでもあんのかい??
ヱ:・・・あるには、ある―――
エ:ほえ? なにサ―――それ・・・
ヱ:シュターデン、気付かなかったか―――ヤツらの布陣を・・・
エ:ヤツらの・・・布陣―――
・・・そういえばちょいと不自然なところがあったよね。
ヱ:そう―――その「不自然」なところなのだ。
確かに、現在では兵器も発達し、より効率的に敵を撃破しやすくはなっている・・・
だが、それはカルマとて同じ事―――・・・
エ:そ・・・そりゃあ〜お前サマの考え過ぎ―――ってなモンだろ?
少ない犠牲でコトの成就をなせれたのは、偏(ひと)えに大将軍様と軍師殿のお陰・・・そうは思わないのかい?
ヱ:そこが単純なんだ―――シュターデン!!
気付いていないとは云わせないぞ・・・今回のヤツらの布陣の仕様―――
全くと云っていいほど、あの方の・・・に、似ているということを!!
エ:バ・・・バカをお云いでないよ―――・・・
な、なぜ―――私たちのお師様であるあの方が・・・
〔今回の戦役で最も戦功があったのは、西部・東部各方面の戦線において、死守するカルマの将を撃破し、
ワコウ城駐留のカルマ軍に大きな損傷を負わせた、大尉・驃騎将軍のエリヤ=プレイズ=アトーカシャと、
ハルナ城を守る魔将の一人を撃破した、御史大夫・車騎将軍のエルム=シュターデン=カーミラだったのです。
しかし―――ヱリヤは、今回の戦役での勝利が、どことなく創られたモノのように感じ、
今日(こんにち)の戦勝気分も素直に喜べなかったようなのです。
しかも、そのやり様に関しても、自分たちも知る「ある人物」の影が見え隠れしていたのもその要因の一つであったらしく―――
こうして戦友とも呼べるエルムと共に、コトの究明に当たっていたというのです。〕