≪五節;女禍の焦燥≫

 

 

〔―――とはいえ、今しばらくアヱカと思(おぼ)しき発光体とのやり取りは続き・・・〕

 

 

ア:―――でもタケル・・・わたくしは、あなたという存在を諦めきれたわけではないのですよ・・・

  今、この城に留まってくれているのは倖いでした―――・・・

 

  さあ―――・・・タケル・・・このわたくしを・・・抱いて・・・・

 

――するとその時――

 

ア:やめろ―――! ナニをしているんだ!!

タ:(!!)ア―――・・・アヱカ様・・・??!

ア:―――女禍・・・

 

 

〔普段は豪勇で知られるタケルも、普段以上に積極的に優れる自分の主に対しては怖気づいていたものでした。

 

それを見越して―――なのか・・・必要以上に肉体関係(?)を迫ろうとする女皇・・・

ですが―――そこで、その行為を阻止せんと現れた存在も、またアヱカなのでした。

 

すると、そんな自分自身を見つめ、ある存在を呟く女皇・・・

そう―――今、アヱカの肉体に宿り、それを動かしているのは、「古(いにし)えの皇・女禍」その人なのです。〕

 

 

女:アヱカ・・・君なのか―――?

  いや―――そんなことより・・・まさか君が、アストラル・バディを使いこなせられるなんて・・・

 

  ―――ということは・・・もしや?!!

 

ア:―――女禍・・・どうやら気付き始めてしまったようですね・・・

  仕方がございません―――ここは一つ、わたくしのほうから引き下がりましょう・・・

 

  ですが―――タケル・・・先ほども申し上げたように、あなたという存在自体を、わたくしは諦めきれたというわけではございませんのよ―――・・・

 

 

〔その存在は「不敵」―――いや、不敵というには余りにも大胆に過ぎました。

 

タケル本人がいるにも拘らず・・・また、自身に宿るもう一つの意思がいるにも拘らず・・・

いつかは自分のモノにしてみせる―――と、そう宣下したことに・・・

 

けれども、困り果てたのはそのあとのこと―――

件の発光体が掻き消えたあと、その場に佇んでいたのは、実体としてのアヱカであり、タケル―――・・・〕

 

 

タ:(い・・・今のは一体―――いや、それよりも・・・)

  ・・・そこにおられまするのは、「古(いにし)えの皇」ご自身か―――

 

女:・・・その通りだよ、タケル―――

  だが、信じて欲しい―――アレはアヱカなどではない!

  きっと何者かが、強固な私たちの絆を引き裂こうと企てたことに違いないんだ!!

 

タ:(―――この・・・お話し方・・・なるほど、そういうことだったか。)

  ・・・それならば、お一つお願いがございます。

  そのお言葉、アヱカ様ご自身より話せてはもらえぬものでしょうか―――

 

女:(うぅっ――・・)そ―――それは・・・

 

タ:・・・できぬ―――のでございますか・・・

  ナゼなのでございます、あなた様が宿りしその身体は、本来アヱカ様ご本人のモノであるはず、

  それが、アヱカ様の御魂は何処にあるというのですか―――!!?

 

 

〔けれど、その時女禍からの返答はありませんでした。

 

しかし、逆にそのことが、先ほどの発光体の正体―――それがアヱカ自身の「精神体」(アストラル・バディ)であることの証明を、裏付けたものだったのです。

 

だとしてもどうして―――日頃淑女の見本のような発言や立ち居振る舞いをする方が、

何を契機にして、まるで真逆のようなことをなそうとしたのでしょうか―――・・・

 

女禍は、アヱカのアストラル・バディを見たとき―――

何が起ころうとしていたのか、薄々ながら察していたようなのですが―――・・・〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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