≪六節;鴛鴦(えんおう)の夫婦(めおと)

 

 

〔それから一夜が明け―――いつも通りの定時に皇城へと出勤するパライソの将官たち。

 

その中には、かつて東方戦線にて勲功を立て、今では征東将軍・大司馬にまで出世をしたリリア=クレシェント=メリアドールと、その夫である尚書令の一人カ=カク=ハミルトンの姿が・・・〕

 

 

リ:それにしても―――ハミルトンってさすがよね。

カ:なんです―――藪から棒に・・・

 

リ:だって、そうじゃない。

  日頃は尚書台の一員としてこの国の政務を見ている傍ら、戦中には軍務に入って軍酒祭謀として功績をあげているんだもの。

 

カ:いえ―――それほどでも・・・

  第一私は臆病なので、あなたみたいに前線に立って、己が傷つくのが怖い人間ですから・・・

  そこへ行くと、あなたは何者も恐れずに敵に立ち向かって征く―――羨ましい限りです。

 

リ:そんなことはない―――そんなことはありません・・・

  私も、東部戦線にいたときには我武者羅(がむしゃら)で、その日一日を振り返ることなんかなかった・・・

  それで―――こんなにもがさつに育っちゃって―――・・・

 

カ:ははは―――がさつとは・・・ですが、私はそうは見ていません。

  以前、クーナを攻め落とすために、あなた方と合流した際にも、あなたの采配には目を見張りました・・・

 

  疲れ―――傷ついた兵士たちを後方に下がらせ、屯田に従事させる事で傷を癒し、

  その傷が癒えたのなら、また前線へと戻す―――このような「循環法」は、あなたならではの考え方だ。

 

リ:それは違いますよ―――あの方法は、私が婀陀那様に相談をしたときに教えてもらったものの一つですから・・・

 

カ:ほぉう―――大将軍様の・・・(うん?)

  ―――フフフ・・・噂をすれば・・・ですよ。

 

 

〔この一組の男女は、以前の東方戦線にて共に戦ってきたことから、互いの意思の疎通が芽生え始め、

そして婚姻にいたり―――

またその仲睦まじさも、パラ・イソの中でも群を抜いていたのです。

 

それゆえ、お互いを思いやり慕うその姿は、良い花婿・新妻のよき手本となされ、後世においても「パライソの鴛鴦」という比喩で語り継がれたものだったのです。

 

 

―――ともあれ、そんなところへ以前からリリアが慕っている、現・大将軍婀陀那が姿を見せたことにより、ある事の成り行きが発覚したのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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