≪三節;交信≫

 

 

〔そうは云いつつも、当面のやるべきことを思い出したキリエは・・・〕

 

 

シ:あの―――今、何をされたのです?

キ:交信をするための衛星を打ち上げたのよ。

  パライソ国内・・・いえ、ガルバディア大陸内部では隔てるモノがなかったから、ダイレクトでの交信が可能だったけど、

  あのヴァーナムが邪魔をしていてはテレパスさえも通じない、況してやダイレクト・コールなど・・・

  ―――>主の御名において<―――

――≫今日の我らの糧を≪――

 

キ:通じた―――! ママーシャ・・・ママーシャですね? キリエです。

ヱ:≫予定より少し遅かったようだけど・・・どうかしたの。≪

 

キ:それが・・・どうやら異能の力を行使する者達が、この地にも根付いているようでありまして―――・・・

ヱ:≫そう・・・ならばなるべく慎重な行動を取るように。

  力の解放も抑えるように―――ね。≪

 

キ:そのことについてなんですが・・・

ヱ:≫なぁに? もう使ってしまったの? ・・・仕様のない子ね―――≪

 

 

〔マグレヴ側に到達したことを知らせる為の通信衛星を放ち、知らせを待ちわびていた母と交信を行いました。

そして今までの経過を話してみたところ、キリエはヱリヤから叱責をされていたようだったのです。

けれど、自分達を救ってくれた恩人を助ける為に、同じくしてその経過を見ていたこの国の姫君から、少しばかりの援護射撃が・・・〕

 

 

ル:あの・・・っ、少々お待ちください。

  キリエさんは私達を救うため、自分の力を解放してくれたのです。

  ですからそんなに責めなくても―――・・・

 

ヱ:≫ルリ姫様・・・これは飽くまでもの話なのです。

  向こうの実情も判らないと云うのに、こちらから調子に乗って見世物にするのではない―――と、云っているのです。

  まあ・・・今回が最初の接触で、キリエもどの程度の力の解放を行ったのかは分からないけれど・・・

  それでも―――私の娘に感謝していると云うのであれば、そこは良しとしておきましょう。≪

 

 

〔なんとも健気に・・・パライソ一の猛将と知られているキリエの母を相手に、ルリはキリエの弁護を立てたのです。

するとヱリヤからは、別段今回のキリエの所業を責めているわけではない―――ただ、相手勢力の内容も判らないうちにこちら側の実力を見せるなど、

ただ一時(いっとき)の感情に任せ、全力をもって相手を打ち負かしたことの愚を解いていたのです。

 

そう―――つまりこれはどう云うことかと云うと・・・〕

 

 

マ:む〜〜・・・なーんだよ! あんな云い方しなくたっていいじゃんか―――

  キリエさん、別段悪いことしたわけじゃないんだからさ・・・

ユ:莫迦ね・・・ヱリヤ様はそこの処を云ってるわけじゃないのよ。

  考えて御覧なさい―――奴らにしてみれば、こちらに様子を見るための偵察を放っていたけれど・・・中々帰って来ない―――

  それでどうしたことかと、もう一度偵察に出してみれば・・・前の連中がこう云った死に方をしていると知った時、

  聡い者ならばすぐに感づくはず・・・この地に自分たち以外の何者か―――そう・・・異能の力を持った何者かの存在を・・・ね。

 

キ:そうね・・・私も少々感情的になり過ぎたわ。

  しばらくは大人しくしていないとね・・・。

 

 

〔中々戻らない偵察隊―――このことをルリ達の敵対国の上層部はどう思うだろうか・・・

良くて道草を食っている―――悪くて路に迷っている―――そして最悪は・・・自分たち以外の何者かに討ち果たされている・・・。

この、現実となっている最悪のケースが、向こうの知恵のある連中に知られた時、マグレヴの生き残りであるルリ達が当面気にしなければならないのは・・・

今の処、行方知れずとなっている、マグレヴの姫君であるルリが祖国へと戻り、おまけに援軍であるパライソの将を一人伴っていると云うこと―――

 

いくらパライソ一の猛将の血筋を引くとは云っても、自分達をここまで追い詰めた敵勢力の総てを相手にすると云うのは・・・

確かに、そこまでは考え過ぎなのかもしれないけれど、常に最悪の事態に陥った場合を考慮に入れておくべきだ・・・と、ユミエは説いたのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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