≪五節;経過報告≫
〔それにしても・・・あの、世間知らずで我儘だったこの国の姫であるルリが、これから更なる試練に立ち向かうことになることを、
この国の大臣だったススムも懸念はしていたのです。
けれど・・・それは杞憂に過ぎたことでした。〕
ル:大臣―――よくぞ・・・よくぞ今まで耐えてくれました・・・。
もうこれからはこの私が―――マグレヴの王として、かの野獣たちに立ち向かっていきます。
〔杞憂に過ぎたこと・・・この姫君は、以前からは考えられないほどに、成長してきていました。
自分が何者で、これから何をどうすべきか・・・あの死の山脈を越えたところで、培って来たに違いない・・・。
今の言葉に嘘偽りはなく、それが今の彼女の強い志の現われなのだ―――
その証拠に、随分といい顔になって帰ってきている・・・あの頃は―――まだ我儘し放題で自分たちの手を焼かせていた頃は、
その顔にはあどけなさが残っており、今のように大人びた―――凛とした顔つきではなかったものだ・・・
大臣は、ルリの幼少の頃より世話をしてきたから、彼女の性格を熟知していました。
けれど今となっては・・・少女時代の雰囲気は鳴りを潜め、本当にマグレヴの王として立っても恥ずかしくない風格に品格を身につけて帰ってきた・・・
そのことは、大臣も淋しいものだとは思いましたが、人は成長するものだと、そこは敢えて割り切ろうとしたのです。
それに・・・戻ってきた5人もの精鋭にも、目を見張るところがありました・・・が―――
自然と大臣の目は、ある一人の異邦人に行くのでした。〕
ス:―――そこなる御仁は・・・
ユ:ああ―――この方でしたら、今回私たちを無事、あの死の山脈から本国へと送り届けてくれた・・・
今回協力の盟約を取り付けてくれた国家、パライソの左将軍である―――・・・
キ:初めまして―――私はハイランダーの、デスバハムートである・・・キリエ=クゥオシム=アグリシャスと、申し上げる者です。
ス:今・・・なんと―――?! ハイランダー・・・?
あの野獣共の仲間の一人である・・・?
ル:―――なんですって?!
キ:(やはり・・・)あの先ほどの雑魚共が云っていたのはこのことだったようね・・・。
シ:それにしても・・・キリエさんと同じ種族が―――・・・
キ:さあ? 同じ一個の天体の下だもの、私たち以外の同じ種族がいたとしても、そう不思議ではないわ。
それより大臣様・・・その敵対勢力にいる、私と同じ種族以外の構成・・・話して頂けますね。
〔キリエの正体を知らない大臣は、途端に顔が青褪めました・・・
それもそのはず、この度マグレヴを襲い、王と王妃の命を断った連中の中に、キリエと同じくの存在がいたというのですから・・・。
それにしても、てっきりガルバディア特有の種族なのかと思いきや、山脈を隔てたこの地にもいたとは、誰もが信じられずに驚いたものだったようです。
けれどもキリエは、自分たちが息づいているこの惑星(ほし)がどんな処なのか・・・ある程度判っていたものと見え、
自分と同じ種族がこの地にいることを知っても、さしてそう驚いた様子は見せなかったのです。〕