≪二節;無情なる判断≫
〔ところが―――・・・丞相・タケルからは、ヱリヤからのその願いは到底受け入れられないとの意思が表明されたのです。
それと云うのも、長らくパライソは敵対国であったカルマと戦役を交らせ、国力を疲弊させていたので、
現在はそこから復興するために、甚だ国費を浪費させる―――他勢力との戦役は利益莫きところだとされ、
中々受諾の方向には傾かなかったようなのです。
すると―――・・・今の詮議の一部始終を鑑みていた女皇陛下の口からは・・・〕
ア:なるほど・・・確かに弱き勢力を攻め、服従させるところが「悪」だと唱えるのならば。
このパライソも同義であることは間違いはないでしょう・・・。
何しろ、今―――ガルバディア全土を掌握にいたらしむと云うことは、総ての弱き勢力に打ち勝ってきたからこそ・・・そうは思いませんか。
ヱ:・・・し―――しか・し・・・陛下・・・
ア:・・・ならば、ここは一つ双方に使いの者を立て、どちらに正義があるのかを問うてみる必要性があるようですね。
それでは―――まづルリ姫様の処へは・・・ジョカリーヌ、あなたが行って差し上げなさい。
ジ:私が・・・ですか―――? 母上。
ア:その通りです。
それにあなたは、云わばこのわたくしの名代として、彼女達の国家へと赴くのです。
それから対抗勢力へは―――ガラティアとベェンダー。
ガ:おぉんや―――おや・・・またこの私達に汚れ役を押しつけようってかい?
ア:申し訳ございませんが―――・・・
ガ:あ゛〜〜はいはい―――判ったよ・・・
デ:んまあ〜〜見るからにとんでも憎たらしい微笑み返しをしてくれちゃってからにぃ。
お姉さまがそう云うのに弱いってのを知っててやってんぢゃないの〜?
ア:あら―――・・・そう云うジルも、この手を使っていたんでしょう?
デ:うギ・・・
ガ:はあ〜あ―――やれやれ・・・あんたも女禍ちゃんとタッグ組んで、前より手強さが一割増したって感がしてくるねぇ〜。
ア:ですが・・・そうは云いますが―――彼の土地には未だ知られざることが追々(おうおう)にしてある・・・と、大公爵からも・・・
デ:あいつか―――・・・ったくぅ〜、師である私を差し置いて抜け駆けなんかしてぇ・・・。
ガ:・・・ま、それはよしとしといてぇ〜―――向こう側の扉を設置するにゃ、ちと時間が要るんだけど・・・
デ:―――とりあえずは・・・まあ〜・・・人一人程度と云う処からですか。
大人数分のはそれから造り込むことにいたしませう・・・。
〔弱小を隷属させその版図に加えると云うのが「悪」だと云うのならば、今現在をしてガルバディア大陸の覇者足り得る帝国はその最たるもの―――とまで云い、
暗にマグレヴを攻めている勢力を「悪」と決めつけるものではない・・・との発言があったのです。
そのことにヱリヤは、人道的配慮の下発言をした女皇に、二の句も告げられなかったのですが・・・
ここで女皇は、ではどちらの言い分に正義かあるのか―――を見極めるべく、パライソは中立的な立場を取った上で二国間に使者を立てることを検討し、
その人選に・・・ルリ姫達の祖国であるマグレヴには、自身の皇女であり「太子」であるジョカリーヌを―――対抗勢力へはガラティアとベェンダーを・・・
派遣することに決定したのです。
それとまた併行させて―――ガルバディア大陸と・・・かのマグレヴがある「ランド・マーヴル」とを繋ぐ「路」・・・
つまり、危険を伴う山越えのルートではなく、比較的安全な通路を平坦な場所に造るべく、
女皇自らが知る最高の技術者の二人に頼み込むことにしたのです。〕