≪五節;気紛れ≫

 

 

〔いえ、それよりも彼は知っていたのです―――・・・

あたら強力な力を奮う者が、例え戯れに過ぎたることだと思っても、それは所詮「戯れ」に過ぎないことを。

 

以前のように、全力を持って闘争を奮えなくなってしまった・・・その虚しさ故に、退屈過ぎる日々を過ごす―――その苦悩・・・

 

けれど、期待していた機会は早くに訪れる・・・そのことを予感していたからか―――〕

 

 

臣:た・・・大変だ〜〜―――! あ、あいつらが・・・すぐそこに〜〜!!

 

ル:そ―――んな・・・なぜ・・・どうして?

ナ:大公爵様の結界が・・・破られた―――?!

ユ:レイカ―――シズネ―――すぐさまフォーメーションを・・・マキは私と共に迎撃に当たるわよ!

マ:ぃよっしゃい〜! ひっさびさに暴れてやろうぜいっ―――!!

 

キ:(こんなに簡単に・・・はっ!)―――まさか・・・

 

フッ―――フフフ・・・

 

大:しかし―――・・・長き間退屈に晒されると、それにも「飽いて」くるものだ。

  それゆえ「戯れ」に興じてみたくなる―――と、云う考えが、頭を擡(もた)げてくることも・・・ある。

 

ユ:うっ―――! なに・・・今の―――怖気(おぞけ)

マ:うヒ〜〜―――サブいぼ立っちゃったよ!?

シ:なんと云う・・・強大な魔障―――!

レ:この感じ・・・カルマの魔将に似ている・・・??

ル:しっ―――しかし・・・彼らはもう?!

ナ:しっかりしろ―――ルリ! 滅んだ奴らは蘇りはしない!!

 

大:ク・ク・ク―――汝達も、見てみたいとは思わないかね。

  余の云う・・・「戯れ」がいかほどのモノであるのか―――を・・・。

 

 

〔急に―――強固な結界が破られてしまい、そこから多くの敵が侵入してきたことを、見張り役の者から報告を受けました。

そのことに「禽」は素早く「クイーンズ・ガード」に早変わりをし、一丸となってルリを護ろうとしたのです。

 

ところが・・・パライソ国の武官の間でも、そうざらには大公爵の強固な結界を破れる者はいない―――況してや、キリエ自身でさえも難しいと云われているのに・・・

それが何の間違いからか・・・いや、間違いでないとするならば、結界を創った者自身の意思で―――??

 

そうキリエが確信に至った時、そこには生来からの真紅(あか)い眸を、より血の真紅(あか)に近い色に染め上げた者が―――・・・

 

そこで彼は云うのです・・・退屈な時間を過ごすにも限度と云うモノがある―――

そう云った者は、例え「戯れ」であったとしても―――退屈を紛らわせるためには、遊興に浸りたがるのも無理らしからぬところだ・・・と。

 

自分のすることを、口煩く云う者も近くにはいない―――・・・

しかもお誂え向きに、向こうはこちらの異変を感じ取り、大挙して押しかけてくると云う―――・・・

 

それこそが願い・・・千載一遇―――

最早この機(とき)を逃しては、同じような機会は巡り合わせてはこないだろう・・・

そのことに達観した大公爵は、ルリ達が居るのもお構いもなく―――自らに流れる闘争の血を滾らせるのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

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