≪六節;真の闘争≫
〔そして・・・マグレヴの生き残りがいると云う場所を探り当てた野獣達は、今度こそ自分達に逆らう人間達を根絶やしにする目的で、無遠慮にも侵略を開始しようとするのですが・・・
そこで唯一人―――悠然と席に腰を据え、待ち構えていた・・・美女の形(なり)をした者を目にするのです。〕
魔:ぅぬう―――? なんだお前は・・・
魔:見かけん顔だな・・・
大:フッフッフッ・・・ようこそ―――待ちかねたものだよ・・・。
それにしても・・・汝達は実に幸運だ、余が自らこの手にかけ―――死ねると云う栄誉を給わったのだ・・・。
さぁ・・・この余を、存分に愉しませてくれたまえ―――
魔:ん・なあっ―――?!
魔:あいつ・・・女の姿をしてやがる癖に、声がおやぢじゃねえか!?
魔:だが・・・まあいい、そんなこたぁどうだっていい話だ―――おい、貴様・・・ここにいると云うマグレヴの生き残りを、どこにやった!?
今だったら・・・素直に喋れば―――生かしてやらんこともないぞ・・・
大:フム・・・いや、知らんよ。
ここはすでに余のフィールド内で、そのような者のことなど知る由もなかろう・・・。
魔:なろぉ〜! ふざけやがって〜〜!!
〔彼らは・・・知る由もない―――
目の前に立ち阻みたる者が、何を希み―――何を待ち受けていたのか―――など・・・
何よりも強き者との「闘争」のみを好み、自身のレゾン・デートルを闘争の渦中に見い出そうとしている者のことなど・・・
何よりも哀れなるは―――彼の者の「気紛れ」により、彼の者と対峙せざるを得なくなった者達であることを。〕
大:ぐぼおぉっ―――! ぐはあぁぁ・・・
魔:ゲハハハ! なんだ・・・こいつ、あんな強がりを云って―――大したこたぁねえじゃねえか!!
〔そして・・・今―――大公爵を害するべく、深々と刃を突き立てた者は・・・
知らない―――また・・・知る由もない・・・
今の自らの行為で―――自らの生くる時間を、終えさせてしまったことなど・・・〕
ス:あ・・・あらら? あの人―――相当強いんじゃないの??
レ:莫迦な? あの・・・エルム様の父親である方が―――あんなにも簡単に・・・
マ:・・・・・・・・。
シ:どうしたの、マキ・・・あなた、顔色が―――
マ:知らない・・・あたし、見たくもない―――
へへ・・・あいつらザマ見ろだよ―――あんな・・・致命傷の処に・・・
ユ:・・・あなた―――あの人の「闘争」と云うモノを見たことがあるの・・・?
マ:―――あるから見たくないんじゃないか・・・あれは〜・・・
キ:・・・あれこそは、自らの体を傷つけさせて―――その反作用で相手を死に至らしめる・・・「呪怨」(カース)の一種よ。
〔エルムドア大公爵の・・・この術式のことを知っていた者が、マグレヴ側に二人いました。
一人は、エルムドアの娘であるエルムとは大の仲良しであるマキ―――・・・
そしてもう一人は・・・その過去において、ヴァンパイア達の闘争の内容を詳しく知るキリエ・・・
彼女たち二人は良く知っていたのです。
今の敵からの一撃が、何を意味していたのか―――を・・・〕
大:ん・ん〜〜―――ハラショー・・・まづは及第点と述べておこう。
余に心地よい傷みを与えてくれて・・・感謝の言葉もない―――
さて・・・次は誰なのだね、もっと余を愉しませてくれたまえよ―――
魔:な・・・なんだぁ〜? あいつ―――・・・薄気味悪いったらありゃしねえ!
魔:あ・あ・・・胸に風穴空けられて―――なんで平気なんだ??
魔:えぇい! あんなのは所詮強がりよ―――よく見てみろ! 胸の穴からも口からも、血がドクドクと流れてるじゃねえか!!
魔:そ・・・そうだよなあ〜?! なんだ・・・驚かせやがる―――止めを食らいやがれぇい!
〔先ほどの一撃によって、致命傷を負ったその身体・・・
けれども、何食わぬ顔をしてその場に佇み―――尚且つ相手を煽ろうとする言動を紡ぎ出す、不遜な存在・・・
嗚呼―――また・・・
またしても哀れなる愚か者たちは、自らの生命を終わらせるのを早めんがため、ヴァンパイアの身体に次々と刃を立てて逝く―――
その身体は既に不死であり、その身体より夥しく流れゆく血潮は、そうだと信じ易くするための―――云わばフェイクでありデコイ・・・
それでも尚、大公爵の身体は切り刻まれ、剣や槍などが突き刺さって逝く―――
そして、それらが意味するモノとは―――・・・〕