≪四節;主従再会≫
〔閑話休題―――・・・
大公爵の案内により、簡易性の王宮が設けられたマグレヴの「アーク・ゼネキス」に辿り着いたジョカリーヌの一行は・・・〕
ジ:ここが―――ルリさん達の故郷・・・
サ:中々、良さそうな処じゃないですか・・・ま、云っちゃなんですけど、私達の処よりかは負けますけどね。
ジ:フフ・・・これこれ―――
ところで・・・仮設の王宮はどの辺りになるのだろう。
サ:あらっ? あの二人―――・・・
レ:お待ち申しあげておりました―――
シ:パライソ国皇女様に右将軍様。
ジ:レイカさんにシズネさん・・・そうか、君達は王宮詰めの人たちだったんだね。
すると・・・じゃあ―――ナオミさんやユミエさん・・・マキさんも?
レ:いえ―――私達=禽=の団長だったナオミは、マグレヴへと戻ってきた時点で、またルリを護る役目・・・
「ガーディアン」としての責務を全うするため元の人形へと戻りました。
それに・・・元々王宮詰めだったのは私たち二人のみ―――あとの二人に関しては・・・
シ:ユミエさんにマキは、元々はこの国でも有名な盗賊団の一員だったんですが、
あの山脈を越える際、彼女達を除く全員が事故により落命してしまいました・・・
ですから、もう彼女達に掛けられていた罪過には、恩赦が与えられているのです。
〔自分達だけが知らなかった・・・いえ、知ろうはずもなかった事実―――
それが=禽=達の出自・・・
そして、その元構成員だった二人から、意外な事実が齎(もたら)されたのです。
元々この組織の大多数は、この国を荒らしまわっていた盗賊団で占められており、
若干数の王宮詰めの者・・・それがレイカであったり、シズネやルリ姫であったりしたわけなのです。
それが・・・あの「魔の山脈」と畏れられていたヴァーナム山脈を越えると、構成員は本来の数よりも大幅に減少し、
ガルバディア大陸にて活動を本格化させた時には、たった六名しか残されていなかったのです。
けれども・・・不履行に終わるモノだと思われていた任務をこなし、再び故国の土を踏んだ時―――
予(かね)ての約束通り、ユミエとマキに掛けられていた罪過には恩赦が与えられていたのです。
そして、マグレヴの内務官である二人に連れられ、王宮に来た二人は―――〕
キ:あ・・・主上にサヤさん―――!
サ:キリエさん・・・生きてたか〜〜! いや・・・心配したよ、私―――
キ:うん・・・でも、今回は頂上を目指したわけじゃなかったから・・・
それに、あの「ヴェクトール」を越えた世界が、こんな感じだったなんて―――知らなかった・・・
ジ:ご苦労だったね・・・キリエ。
キ:主上・・・ようやく大仕事を一つこなせられた気分です。
〔そこには、自分のことを心底心配してくれた戦友と、「ご苦労だった」・・・と、までしか云わない彼女の主がいました。
しかしそれでは―――あまりに薄情ではないかと思う気がするのですが・・・
たったこの一言に、どれだけの「情」がこもっているのかを、キリエは知っていました―――
日頃毅然とされている方の・・・その裏側で、どれだけの心労を費やされているか―――
大きな組織の頂点に立つ者は、時には気弱な態を部下にも見せてはいけない・・・
また、そんな気弱な態を相手に見られでもすると、向こうはそれに付け込んでこようとすることを、
古(いにし)えの帝国シャクラディアからの家臣だった者は、知っていたのです。〕