≪二節;不安と焦燥と・・・≫
〔それは・・・「刹那」―――『挨(あい)』と云う、一秒の実に100億分の1と云う刻(とき)の狭間で交わされた出来事の一部分でした。
これから存在を消滅させようとしている者は、その際(きわ)に自分のクローンの削除を「死せる賢者」に依頼していたのです。
けれど・・・その願いは終(つい)ぞ叶えられることなく―――こうして100万年経った未来で、オリジナルとコピーが対面するきっかけともなってしまったのです。
ですが・・・実はこのことはそればかりではなく―――〕
ア:それよりもジョカリーヌ・・・あなたは何も感じませんか。
ジ:えっ? ・・・なにを―――
ア:わたくしは、今回の事態をある程度想定し、既に向こう側に「ある方」を遣わせていたのですよ。
そして・・・その「ある方」がいたにも拘らず、「プルミエール」なる存在が出てきた・・・
ジ:ああっ!ガラティア姉さん・・・でも、それでは―――
ア:そう・・・現在では、あの方の存在そのものを感じ取ることができません。
ですが、それであるにも拘わらず―――あの者はわたくし達の前に現れ・・・早々に身を退いた・・・
つまりこれは、今回のことは、あの者にしてみればほんの顔見世・・・「挨拶」代わりではなかったかと―――
ジ:・・・だ、とすると―――ガラティア姉さんは、君の分身に滅ぼされてしまった・・・
ア:いえ―――そこまでのことはないでしょう。
あの方のことですから、きっと何かの事情により、「物質界」(マテリアルプレーン)において存在を紡げ難くなっているのかもしれません・・・。
〔女皇アヱカは・・・今回の事態をある程度想定をしていました。
その「予防策」のため、敢えてジョカリーヌの姉であるガラティアに、調査及び捜索のみを依頼していたのですが―――・・・
その彼女からの報告もないまま、いきなり「プルミエール」と対面してしまった・・・
そこでアヱカは、冷静に・・・且つ、速やかに自分達が最悪の事態に陥った場合を想定し、彼の者を大人しく退き下がらせる交渉を行ったのです。
・・・とは云え、そこまでの予測を立てられた時、さすがにジョカリーヌは普段通りにはいられませんでした。
しかしそこを―――アヱカは、自らが知る「リッチー」の特性を話した上でジョカリーヌを諭したのです。