≪二節;母と娘と・・・≫

 

 

〔そんな彼女達は、実に意外な場所で合流することとなったのです。

その意外な場所とは―――マグレヴの暫定王宮が設けられている、アーク・ゼネキスにて・・・〕

 

 

ア:(街中は、復興をしつつあるようですわね―――・・・あら、あの背後(うし)ろ姿は・・・)

  あの・・・隣の席、よろしいです―――?

ジ:えっ・・・はい―――って・・・アヱカ??

 

ア:まあ、なんて美味しそうな料理なのでしょう。

  あの、すみません―――この子と同じ料理をわたくしにも・・・

 

 

〔そこは―――仮の都にある・・・とある大衆食堂。

そこで、他国の―――この国マグレヴを救うための援助をしている国の皇女が、王宮にある大食堂ではなく、住民たちがよく利用している店舗で・・・何やら美味しそうなモノを啜っている・・・

そんな様子を見て、空腹を覚えていたアヱカは皇女と同じ品を頼むのですが・・・〕

 

 

ジ:あっ―――あ・・・ど、どうしてここに・・・

ア:それはこちらが云う事ですよ、ジョカリーヌ。

  あなたはパライソ国皇女としてこの国に来ているのですから、それなりの相応しい場所で食事を摂らないといけないと云うのに・・・

  それに、そんな高貴な身分の者が、民達の集(つど)う場所で―――とは・・・タケルさん達の事も少しは考えたらどうなの。

 

ジ:・・・私の事を「高貴」―――って・・・それを云ってしまったら、私の「母」である君は・・・

 

ア:はふはふ―――ちゅるちゅる〜・・・ほひ? あふっ―――!

 

ジ:(美味しそうに啜っているよなぁ・・・)―――じゃあなくって!!

  私の「母」ってことは、私より立場は上のはずでしょうが! 君からそう云う事を云われる筋合いは・・・

 

ア:「なかった」―――でも、今は「非公式」なんですもの・・・それに比べ、あなたは女皇からの命(めい)により、「公式」にこの国を訪れているのですものね。

  この差は―――大きいと思うのですけれど・・・。

 

ジ:うっ゛・・・卑怯だぞ―――そんなカードを切ってくるなんて・・・

 

ア:ウフフ・・・冗談はそれくらいにしておいて。

  ―――どうやら「真祖」の気が一つ増えたように感じるのですけれど・・・

 

ジ:・・・そこまで知れているのなら、説明の必要はないな。

  その通り―――この国出身であるマキと云う子が、エルムに血を吸われて新たなる真祖になってしまった・・・。

  その事を知った私は、また彼らの暴走を食い止める為に、「八苦」の封を施した―――までは良かったんだけどなぁ〜・・・

 

ア:エルムさんと同じような方がもう一人増えれば、当然と云える結果・・・でしたか。

  彼(か)の一族の暴走―――また別の象(かたち)で顕(あらわ)れてきましたとは・・・

 

ジ:・・・そこは反省してます―――けど私・・・そんなに食い気がある方じゃ・・・

ア:すみませーん、「替え玉」もう一つ頂けません?

 

ジ:アヱカ―――?!!

 

 

〔突然自分の隣りの席に座ってきた客人を見て、ジョカリーヌは驚きました・・・

それと云うのも、今現在ではパライソの都城・シャクラディアにて自分達の帰還を心待ちにしている―――はずであろう女皇自身が、

なんの飾り気もなく、民衆の中に溶け込んでいたのですから。

 

しかも、女皇のこの計画を全く知らない皇女は、半分皮肉も込めて批難をするのですが・・・

こう云った事には相手に「一日の長(いちじつのちょう)」があると見るべきか―――云いように言い包(くる)められてしまい、

周囲(まわ)りからは、非常に仲の良い者同士が、マグレヴ特産の麺類を啜っていただけにしか映っていなかったようです。

 

しかしそんな中でも、論点はずれる事はなく、アヱカはここ最近で増えたヴァンパイアの真祖の事を訊いてきたのです。

そして、その経緯を知るに至って、大国の皇女がどうしてこんなところで・・・と、云う事も、ある程度分かってきたようです。

 

ところで・・・彼(か)の一族の「食いしん坊」の因子は誰のものか―――と、思っていた時に、この料理の「替え玉」を頼む「母」であり「相互共感」を持つ者の姿に、

「そこだったのか?」・・・と、改めて驚くジョカリーヌの姿があったのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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