≪三節;戦略の概要≫

 

 

〔それからしばらくして、マグレヴ王宮内では、この国とパライソ国の将官とが、敵対国であるマルドゥクにどう対応していくのかの意見交換がなされているのでした。〕

 

 

テ:ああ間違いない、偵察隊の奴らの話しによると、ここから50km離れた場所―――ユグノーに砦を築いて、兵達が続々と集結していると云う話しだ。

タ:(km・・・?)

  ―――つまりそれは・・・敵方の前哨基地に兵達が集結しつつある・・・と、云う事は、近々こちらに攻め込む意思があるモノと、そう捉えてよろしいようですな・・・。

  それで婀娜那―――どう展開すれば、我々は優位に闘えるかな。

婀:ふぅむ・・・さすれば―――この王宮と、彼(か)の砦を結ぶ線を基準とし、この三地点・・・「カルカノール」「ミレット」「ジブ」で展開させた方がよいかと。

 

ス:ふむ・・・それは中々に良い作戦じゃが―――こちらは圧倒的に人手が足りぬ。

  兵も・・・況(ま)してや将も―――な。

婀:そのことならば心配ご無用。

  我が方には、一人で万からの敵兵を相手に出来る将がおりまする。

 

ヱ:ほぉう・・・これはこれは―――どうやらそれは、私達の事を指しているようだ・・・

  お前もそう思う―――だろう・・・シュターデン。

 

 

〔マグレヴの若き勇将テツローが出していた斥候の情報を基に、多勢の敵兵を寡勢の味方で打ち破るため、

一つの戦場で戦線を展開するのではなく、飽くまで敵方の多兵力の分散化を狙うタケル・・・。

 

そしてその場所の特定を、良き妻にして優れた軍略家でもある婀娜那に尋ねてみたところ、

実に自分が思っていた場所を指摘してきたため、これならばまずは間違いはないだろうとしたのです。

 

「カルカノール」は・・・高台に設けられた廃墟に近いマグレヴの砦を拠点として利用し、登坂(とはん)して攻めてくる敵を迎え撃つには最適の場所と云えました。

「ミレット」は・・・この地では珍しく、沼沢(しょうたく)で足場が悪いため、外周の足場が好い処よりも、寧ろ中央の泥濘(ぬかるみ)に誘い込めば・・・

「ジブ」は・・・一見すれば平坦な地には見えるものの、一切の障害・遮蔽物がない為「伏兵」などの奇計が使えない・・・

 

これらの土地柄を大いに活用できれば、喩え寡兵でも多勢に対抗するのに耐え切れるだろうと、戦上手の二人は思っていたのです。

 

そんなところに、この国の大臣であるススムからは、マグレヴとパライソの連合だとしても、マルドゥクが擁する魔物兵の大軍には及ばないとの指摘もありはしたのですが・・・

そんな指摘もあらんことよと予測していたかのように、婀娜那の口からは「万人の敵」である「帝國の双璧」の存在が上がったのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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