≪四節;檻の中の懲りない面々≫

 

 

〔・・・が―――しかし・・・〕

 

 

エ:・・・ヤ〜ダヨ―――私ゃ・・・

ヱ:なんの事を云っているのか―――それとも私の聞き間違いだった・・・かな。

 

エ:「ヤ〜ダヨ」つったんだよ! 何なんだよ―――この檻!

  ど〜して私やマキちゃんがこんな目に遭わされなきゃならないのよさ―――!(がおーがおー)

マ:そーだ、そ〜だ〜〜! こんなの不公平だい―――ヴァンパイア差別だ〜〜!(ぎゃーすぎゃーす)

 

ヱ:・・・これがなんだか判るか―――あ゛? そうだ・・・私のスカーレット・ブリューナクと云う鑓だよ・・・

  ―――どうした、急に大人しくなったな・・・云いたい事があるなら、はっきりとこの際申し上げていた方がいいぞ・・・

  ま・・・その場合、尻(けつ)にもう一個、穴が出来ると思うが・・・な。

 

エ:zzZZzz〜・・・(すぴょすぴょ)

マ:zzZZzz〜・・・(すやすや)

 

 

〔ヱリヤの方は気持ちの上でも準備万端―――だったのに対し、エルムの方は少しむくれながら、拒絶の態を見せたのです。

しかもこの時の彼女・・・「達」は、母子(おやこ)仲良く檻に入っており、しかも入れられた理由も自分達にしてみれば「不当」の何者でもなかったので、

彼女達は自分達の種族の自由を勝ち取るために、猛抗議をするのです―――が・・・

 

彼女達がしでかしてしまった事は、殊の外重要だったので、敢えてその事を判らせるために少し強硬な態度に出るヱリヤ―――

するとなんと彼女は、エルムとマキが入っている檻の前に、スカーレット・ブリューナク「ゲイフォルグ」を突き立て、「これでも覚えがないか」・・・と、したのです。

 

それを見るとこの母子(おやこ)は急に大人しくなり、都合よくやり過ごす為に「寝たふり」を決め込もうとするのですが―――・・・〕

 

 

ヱ:(狸寝入りを゛〜!!)

  大体そうなってしまう事を、おまいら二人はしてきただろ〜が!

  この王宮に保管している全食料を、二人して喰い尽してしまいおってからに・・・

  それに、せめて目に見える形だけでも謝罪の意を表せればいい・・・との、皇女様からの配慮があったから、それだけで済ませられたのだぞ―――それを・・・

 

エ:お・・・お前サマ〜〜私ゃカンドーしたよ!!

  お前様がそんなにまで私達の事を思ってくれるなんてさぁ〜〜

 

ヱ:・・・いや・・・まあ―――判ればよろしい・・・

 

 

〔一時的には、そんな見え見えの行為に腹は立ちはするものの、決定的な面では身内に甘い面が出てしまう驃騎将軍・・・

だからこそエルムも、旧(ふる)くからの知己の性格を知っているだけに、「嘘泣き」をしてその場をやり過ごしたのです。

 

しかし―――果たしてヱリヤは、そんな彼女達の行為に気付かなかったのでしょうか。

 

いいえ・・・本当の処は―――気付かないどころではない・・・判っていたのです。

 

ではどうして、見過ごしてやったのか・・・それは―――

 

一応はそう云う事にしておかないと・・・一体自分達は、ここに何をしに来たのか―――

災厄を呼び寄せただけとあっては、期待を寄せてくれている女皇にも皇女にも・・・またこの国の人達にも悪いだろうから―――と、云う、後ろめたさがあったからではないでしょうか。〕

 

 

 

 

 

 

 

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