≪二節;援軍到来≫
〔それと時を同じくして―――婀娜那やタケルが通ってマグレヴに来た途(みち)を、続々と・・・鎧を身に付けた者達が通過していたのでした。〕
紫:(この山を―――あっという間に通り抜けてしまった・・・)
それにしても深い森ね―――ここは・・・
リ:うわっ―――?! やだ〜〜もう〜髪の毛が枝に引っかかっちゃう―――
イ:騒がしいですわよ―――近くに敵がいないからいい様なモノを・・・
リ:そうは云ったって〜・・・聞いてないわよ―――こんなの・・・
イ:それは贅沢と云うものですよ、暇を持て余し過ぎて閑職(かんしょく)を与えられた私達が、今一度戦場に立てる機会を得たのです、その事は感謝を致さないと・・・
リ:〜〜ふんっ! なによ―――あんたが一番腐っていたくせに。
イ:なっ―――なんと云う事を、いつ私が腐っていたと云うのですか!
リ:あぁ〜ら事実じゃない―――肚黒いあんたのことだから、「近く内乱でも勃発しないものかしら」・・・なぁんてぼやいてたの、どこの誰でしたっけねぇ〜♪
イ:ちょっとっ―――聞き捨てなりませんわね〜・・・私がそんなに露骨に云ったり・・・
ギ:おいおい―――止めようぜ? こんな処で一戦(ひといくさ)起こしたって、こっちには何の得にもなりゃしない・・・。
イ:そ・・・そうよね―――あなたの云う通りだわ、ギルダス・・・v
紫:(はあ〜〜・・・なんで私が、こんな「やんちゃ姫」達の面倒を見なければ・・・)
チ:大丈夫か―――紫苑・・・
紫:ああ―――あなた・・・ええ、大丈夫、ここを越えればすぐの処のはずだから・・・
ノ:それにしてもヱリヤの奴―――押しかけ同然で行ったもんだからなぁ・・・向こうさんに迷惑かけてやしないかな。
ミ:ハハハ―――それには及ばないでしょう。
何でも新しく就かれた丞相閣下の云われるのには、驃騎・車騎両将軍様は、既にあの方の戦略通り動かれている・・・とのことですから。
〔例の―――ガラティアとジィルガ共同で創った「穴」と云う転移施設から・・・
恐らくパライソの将校たちと、その軍と思われる「旅団」が、マルドゥクの特定の地域―――今回の戦場・・・「カルカノール」へと向かっていたようです。
しかも―――その顔触れたるや、錚々(そうそう)たるモノで・・・
まづはこの「旅団」を与(あずか)る紫苑を筆頭に―――ガルバディア統一戦では、各戦線で功を競い合った名だたる将達ばかり・・・
イセリア―――リリア―――セシル―――ギルダス―――ミルディン―――ノブシゲ―――チカラ―――・・・
この陣容だけを見ても、パライソ女皇の―――マグレヴに対する想いや意気込みが見て取れると云うもの・・・
それに―――・・・緊張していた者達を解(ほぐ)す為に、なされていた会話に参加しなかった者達は・・・〕
セ:衛将軍様―――それではこれより、私達は別行動を開始いたします・・・。
紫:そうね―――気をつけて・・・セシル殿。
この地は我々にとって未開・未知の地同然、だからこそ一番に気をつけなければならないのは・・・不意に敵軍に遭遇してしまった時―――
セ:そこの処はご心配なく、何しろ私が率いている隊には、私の夫であるミルディン―――それに私の兄・・・
そして、この二人に加えて、兄と永らくの間行動を共にしてきた同志お二人もいる事ですから・・・。
〔この地にての、路(みち)の最初の分岐点に差し掛かった時、この旅団を構成する大隊の一つを率いるセシルが、紫苑達とは別々の行動を取るようです。
とは云え・・・何も知らない異国の地で―――彼女単独ではないにしても、彼女が率いる大隊が、本隊とは別の進路を取ると云うのは・・・?
それは全く―――兵学書の通りならば、忌むべき行為そのものであり・・・しかし―――
だとするならば、事前に何らかの指示が、彼女達に与えられていたとするならば―――?
しかも、その指示を与えたのが、現在のパライソ丞相である「マエストロ」からのモノだったらば―――?
しかしそう・・・総てはこれから明らかとなるのです。〕