≪三節;相互干渉≫
〔それはそうと―――史上最大の決戦とも云われている、カルカノールにはいない・・・タケル率いる別働隊は・・・?〕
タ:(もう今頃では、決着が付いている頃会いか・・・)
それにしても・・・まだ着かないのか。
ナ:ああ・・・いえ、それが―――・・・
タ:うん? どうかしたのか、ナオミ―――
ナ:いや・・・うん―――何者かが干渉しているらしく、巧く衛星のGPS回線に割り込めなくなっているんだ・・・
参ったなあ―――これじゃ、今どの地点にいるのかすら判りゃしない・・・
タ:それは困るな―――ユミエ、どうにかならないか。
ユ:・・・うん、大丈夫―――ここなら少しばかり土地勘があります。
ナ:済まないな―――
ユ:いいのよ、その為に私が付いているのだから・・・
〔元々、精密機械を内蔵させてある「人形」であるナオミは、自身に搭載されてある「GPS」なる装置を頼りに、敵の兵站拠点である「ダニューヴ」の付近にまで来ていました。
ところが・・・どう云った理由からか、急にその装置が役に立たなくなり、現在自分達がいる地点すら読み切れなくなってしまった・・・
つまり、付近にまで来ていると云うのに、その場に立ち止まらざるを得なくなってしまったのです。
けれど、こんな万が一の時を考慮して、ユミエが付いてきたと云う事もあり、少し危険が伴うかも知れないながらも、少しばかりこの近辺の土地勘があると云うのを信じて、
ユミエに先行させて、あとどのくらいで目的地に着くのかを知ろうとしたのです。
その一方で・・・先行しているタケルに追いつく為、ある機器を行使しながら進んでいたヒヅメは―――〕
ヒ:―――あっ、急に戻った・・・どうしたんだろう、急に点いたり点かなくなったり・・・
〔この当時、最先端の機器である「携帯式GPS端末機」―――を駆使して、自分達の隊とタケル達の隊との相対距離を測っていた時、
やはりこちらでも何者かの妨害に遭っていたものと見え、正確な位置は割り出せないでいたのです。
しかし―――・・・急に装置が回復し、自分とタケル達が驚くほど近くに来ている事を知る処となるのですが・・・
その原因と云うのが、やはり―――・・・〕
ヒ:あっ―――見つけた。
タ:うん?そなたは・・・聖騎士殿の―――
ナ:あっ!この人・・・マキと友達の人だ!
ヒ:そんな認識のされかたって〜・・・でも、これであんた達の位置は把握出来たわ、急いでお義父さんに知らせないと・・・。
ナ:その装置―――そうかぁ〜あんたが持ってるそれが、私の機能とかちあっちゃってたんだな。
ユ:タケル様・・・お待たせを―――
ナ:あっ・・・あんた―――ユミエさん・・・すると、あんた達の故郷って・・・
ユ:あら、誰かと思えば・・・けど、その通りよ、意外な形で判っちゃったみたいね。
それよりも・・・目的の拠点なのですが、ここから目と鼻の先―――約500m・・・ガルバディアの解釈に伴うとすれば、四町余り・・・と、云ったところでしょうか。
その拠点には、タケル様が睨んでいた通り・・・一個小隊足らずの兵力しか駐屯していない模様です。
タ:ほほう―――それは重畳・・・では万全を期するために、ヒヅメ殿・・・そなたは早急に、そなたの父上殿の処に戻り、然るべくしてワシの隊と合流する旨を伝えてはくれませぬか。
ヒ:・・・畏まりました―――
〔何者かの計略により、続々とこの大陸・・・「ランド・マーヴル」に現れた者達―――
しかしそれは、時のパライソ国・丞相・・・ジィルガ=エスペラント=デルフィーネが、機を見計らって大軍を動員―――これを持ってマグレヴへの援助としたのです。
しかも・・・今回の援軍の構成でも特に目を惹いたのは、前(さき)の「ガルバディア統一戦」で活躍していた、「十聖剣」の所持者達には軒並み招集がかかり・・・
今回の重要な戦場ともなっている「ジブ」「ミレット」「カルカノール」で闘っている友軍の援助となるよう、特に配慮がなされていたのです。
こうして、圧倒的兵力差をして、兵站拠点であるダニューヴは陥落しました・・・
この事は同時に、各戦線で闘っているマルドゥクの軍に、戦闘を続けられるだけの物資が行き渡らなくなることを意味し、
それはまた―――士気の低下・・・やがては、この戦争の早期終息を意味していた事でもあったのです。〕