≪四節;きっかけは突然に≫
〔そして―――玉座の間への扉が拓かれると、そこには・・・〕
ジ:あっ―――母上・・・
ル:(え?) ああ―――! アヱカ・・・女皇様!
ス:なんと? この御仁が?
ア:お初にお目にかかります―――本日は、わたくし自身いてもたってもいられなくなり、急遽非公式に訪問いたしました。
時に、マグレヴの新女王陛下となられましたルリ様におかれましては、ご健康そうで何より・・・で、ございます。
ル:いえ―――こちらこそ・・・でも、まさかパライソ国の現当主であられるあなた様が、わざわざこちらに赴かれるなど・・・
ア:ウフフフ―――・・・その事に関しましては、優れた官吏に任せきりにしておりますので、多少なりとも当主が愚鈍であれ、国家は存続できますが故に・・・。
ス:なんと・・・いや、大したモノだ―――
その身に布衣(ほい)を纏っていても、云うべき処が全く違う・・・
なるほど、あのルリ様がここまでになられたと云うのも、あなた様と友誼(ゆうぎ)を交わされたが故に・・・
ア:そこは違います。
ルリ様は、わたくしと出会った時、もうすでにこんな感じでございました。
以前の彼女がどうだったかまでは知りませんが、わたくしが知るルリ様は、紛れもなく現在のルリ様ですよ・・・。
〔みすぼらしい身なりをしていても、玉(ぎょく)のような輝き―――
それは、立ち居振る舞いから紡ぎ出される言葉(ことのは)が、それを証明していました。
それに、この国の大臣であるススムは、自分が知るルリが―――いつも我が儘を云って、云う事を聞かなかったのを知っているだけに、
余所様の国でも、迷惑をかけていないモノかと心配でならなかったようでしたが、
その事をアヱカは、自分と初めて会った時には、もうそんな素振りを見せる真似は一度たりともなかった・・・
つまり―――辛い旅路の経験が、自分がどれだけ甘ったるい事を口にしていたかを知る原動となり、少しづつ改まったのではないか・・と、したのです。
しかし―――気になっていたのは、こんなタイミングで宮殿内に現れたアヱカの真意・・・
その事をジョカリーヌが質(ただ)して見ると―――・・・〕
ジ:・・・アヱカ―――まさかとは思うけど・・・
ア:・・・後は頼みましたよ―――ジョカリーヌ・・・
わたくし達の闘争の余波で、この国の人達を傷つけては絶対になりません。
ジ:・・・フフフ―――不思議なモノだね・・・まさか君から、そんな言葉を聞けるなんて・・・
ア:・・・・・・。
―――さあ、いつまでそうしているのです、わたくしなら今ここにいます、いい加減に姿を現わしなさい・・・プルミエール=ド=オプスキュリア―――!