≪三節;皇女の言葉のその意味≫
〔こうして―――数々の条約を締結し、僅かばかりの臣下をこの地に残すと、女皇と主だった臣下達は自分達の国であるパライソに戻ったのでした。
そのあとで―――・・・〕
ス:うう〜む・・・感心―――感心すること以外ワシは知らん。
あのお方こそ、真(まこと)の王の中の王じゃて。
ル:はい・・・私の方でも驚いています。
本来ならば、この国は失(な)くなったも同然―――それをまた元のように戻し・・・いえ、それ以上に、この大陸の覇者にして頂いた・・・
だからこそ私は、国の実権を譲ることも視野に入れていましたのに・・・
テ:けれどあの方はそうはしなかった―――・・・真(まこと)、慈悲深きお人よ。
ジ:フフフ・・・それはどうかな―――
ル:皇女様?
ジ:何も私の母は、そんなに優しい事は云ってはいないよ。
ただ―――言葉の表現としては、柔らかいように聞こえるけれど・・・
事実、この国の抜けているお役目の穴は、当面はパライソの臣下で埋めることになる。
女皇陛下のお言葉では、その表面上ではそうだとしても、本質的には・・・この国はパライソの支配下にあることと、なんら変わりはない―――
テ:なんと・・・では―――
ジ:でもそれは―――この事態がこのまま続けば・・・の、話し。
それに、パライソの次期当主である私が、この国に居座っていると云うのは・・・今は国力も底辺値にあるこの国が、再び国力を取り戻す―――
そしてこれまで以上に発展する様を見聞させ、そうした経験を基に私達の国に有用活用させるつもりなのだろう。
だから、あまり喜び過ぎるのもどうかと思うんだよ。
〔多くのマグレヴの家臣達は、友好的なパライソ女皇のお言葉に、甚(いた)く感動し・・・崇拝する気運さえ見えてきました。
ところが・・・その国の次期当主である皇女から、この言葉自体が慈悲から産まれた言葉ではなく、どちらかと云えば厳しいモノだと諭したものでした。
その事に色めき立つマグレヴの家臣達―――
けれども皇女は、その事もこのまま持続して、パライソに委ねたままならば―――ともしたのです。
そう・・・この国に、いつまでも違う国家の臣下を置いておくのは望ましくはない―――
早いうちに独り立ちし、これまで以上に発展と繁栄を促進させる事こそ、緊急の課題であるともしていたのです。〕