<第二十八章;XANADO>
≪一節;女皇薨去の影響≫
〔偉大なる皇国の女皇陛下がお亡くなりになられた―――
最早その事実は国内だけに留まらず、すぐさま友好国の君主の耳にも入りました。
そのことを知り、深い悲しみに暮れる女王ルリは―――・・・〕
ル:私達は―――本当の意味での友人を、今日亡くしました・・・。
女皇陛下の死は、彼(か)の国にとって大変な痛手となるでしょう。
けれど―――今回の事が機会だと思っている不届きな者達に、敢えて云っておきたいことがあります。
それは唾棄すべき行為であり、その行為自体も、私の目の黒い内には実行させる事がない事を、ここに明言しておきたいと思います。
〔名実共に、ランド・マーヴルを支配する国・・・マグレヴの当主―――「女王」となったルリの、この演説は・・・
後世に残るまで有名となった「アーク・ゼネキス宣言」として知られ、事実―――その後そうした行動が起きなかったことから、
女王ルリの持つ影響力は、殊の外大きかった事が知れるのです。
そして―――国を挙げての葬儀の当日。
そこには現役のパライソ官僚は元より・・・元パライソ将校―――友好国の女王とその臣下に至るまでが列席し、
これまでにない豪勢且つ厳かな式典となりました。
その中で・・・皇女は、長々とした弔辞を諳(そら)んじて読み上げ、それと同時に個人の遺志を継ぐものだと明言しました。
こうして―――パライソ初代女皇は、その謚(おくりな)を「太母」と称し、国権も次代の女皇へと移譲して行ったのです。
・・・とは云え、「民衆に政治を委ねる」―――と、云うのは、云うほど簡単ではなく、
初代女皇の喪が明けるのと同時に、その事を志す者達を募る「公募」がなされ、
急ぎ―――その為の教育機関である「学校」が創設されたのです。
そして、驚くべきなのがその講師陣―――
なんとその中には、当代きっての王佐の才と謳われた「丞相」や―――彼の良き妻にして理解者である「録尚書事」が、自らの暇を見つけては教鞭を取ったり、
常勤の講師陣でも、皇国の創成期に国を支えた元官僚などが講義を行ったり・・・等、既にその遺志は浸透しているものと見え、
そうした強固な意志の下―――準備は着々と進められて行ったのです。〕