≪三節;地上より永遠に・・・≫

 

 

〔パライソ現女皇の演説を聞き終わると、民衆たちは三々五々去りつつありました・・・。

 

その中で―――・・・一人の子供と、アヱカと思わしき謎の人物は・・・〕

 

 

子:―――ねえ・・・お姉ちゃん、皆・・・もう帰って行くよ?

ア:ウフフ―――そうね・・・

  ・・・ねぇ―――ボク、ボクはこの国のこと・・・好き?

 

子:うんっ―――大好きだよ! ボクの父ちゃんや母ちゃん・・・それに、お祖父ちゃんやお祖母ちゃんも・・・みんな・・・みぃ〜んな、この国の事を好きだと云ってるよ。

ア:そう―――・・・良かった。

  それじゃ・・・この国の王様である「女皇」様は・・・どう?

 

子:うん、今の女皇様もね―――それから、前の女皇様もね・・・みんな、みぃ〜んな―――大好きだって云ってるよ。

 

ア:そう―――・・・

 

〔わたくしも・・・あなた達の事が大好き。

だから―――あなた達が不自由になるような事が、一切あってはならない・・・

飢えや―――寒さなどによって、尊い生命を失うような事があってはならない・・・

況してや―――戦争と云う・・・理不尽なことに晒されるなど・・・

 

 

その―――アヱカと思われる謎の人物は、現女皇の演説を聞きに来ていた一人の男の子と、あるやり取りをしていました。

その事は総じて、この国の事を好きかどうか・・・また或いは、自分達を統治している「女皇」の事を好きかどうか―――と、云う事に留まっていたものでしたが、

その意味は殊の外重要でもあったのです。

 

今は、自分達が統治されていることすら知らない子供でさえも、不自由さを感じさせない―――自由で平等な世の中・・・

そのことに―――自分が存在を賭けて闘争をした意義はあったのだ・・・と、その女性は、心の中で密かに想い、

自分の事も好きだと云ってくれたその男の子に、優しく微笑みかけると・・・そのまま、その場から―――消えるように去って行ったのです・・・。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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