≪五節;女禍の落胆≫
ア:こ―――これは・・・!! な、ナゼここが開いているんだ―――・・・
ア:あら、ようやくお越しになられたようですわね―――女禍。
女:はっ!! ヱニグマ・・・? それに、やはりそれは―――!!
〔そこで突如入室してきた存在こそは、今回の騒動にも少なからず係わっていた女皇アヱカ・・・
いえ―――今、アヱカの身体に入っているのは女禍・・・
そして、そこで女禍は驚くのでした。
それというのも―――過去において須らく折伏したはずの存在と、最早自らの手ですら稼動させる事のないと思われていた培養槽が、
白日の下に晒されていたのですから・・・。
それにしても、どうして女禍はこれらを見て驚いたのでしょうか。
それは―――過去に折伏させたはずの「ヱニグマ」なる存在が、復活していたから?
それは―――二度と開かれる事のなかった研究施設の封印が解かれていたから??
いえ・・・実は、そのどちらでもなく――
今一番に女禍が驚き、恐れていたこととは・・・
培養槽に漬かっている中身の存在―――・・・
しかも、その培養槽の中身も、一見してみても人間のある生殖器官と、そう違わないモノ・・・〕
大:女禍――― 一足遅かったようだな・・・。
女:あぁ・・・ああぁ・・・・っ―――
エ:ど・・・どうしたの―――女禍様、これがそんなに・・・
ア:女禍―――何をそんなに落胆をするのです。
女:し・・・白々しいぞ! ヱニグマ―――!! これは・・・これは―――っ・・・!!
〔女禍が―――培養槽の中身を、他人に知られることを一番に恐れていた理由・・・
それは、この中身が、「人間のある生殖器官」に似た、女禍の―――・・・〕
エ:(え・・・)え゛え゛え゛〜〜っ?!! こ―――これ・・・って、女禍様の・・・『卵巣と子宮』??
ア:そうです―――
女:―――なにが・・・何が目的なんだ・・・
この私の、恥を恥とも思わない行為を、世間に暴くために―――
大:フフ・・・果たして、それはどうかな―――
女:なんだって―――? ・・・どういうことなんだ、マグラ―――
大:そう怖い顔をしなさんな・・・
ところで―――状態のほうはどうなんだ、組織や器官そのものに損傷があった場合は、単にコレの恥を晒しただけに過ぎんぞ。
ア:そこのところはご心配には及びません。
100万年前に、とうに死滅していたはずのこの惑星・・・
この美しき天体をそうさせないために、この方の持ち艦であった<シャンバラ>を、この惑星の核(コア)と同化させた・・・
ですが――― 一縷の望みを託すために、<シャクラディア>と<カレイドクレスト>の機能の一部のみを、この培養槽の維持にまわしたのです。
そして―――・・・こちらには、「ある方」の「あるモノ」が収めてございます―――
女:はっ!! そ―――それは・・・!?
ア:女禍・・・あなたがかつて思いを寄せた者―――アベルの末裔・・・タケルのですよ。
女:タケルの―――・・・? すると、婀陀那さんは―――・・・
ア:・・・あの方には、今回は少しばかり泣きを見てもらうことにいたしましょう。
それも、気付けば―――の話しですが・・・
大:クク・・・それにしても、随分とコクな事をするものだ―――
折角そうなる様に仕込ませたはずなのに、期間を過ぎても何の変調も現れなければ、疑うしか他にないのではないかな。
女:あああ〜〜―――っ・・・私は、なんと云う・・・
ア:・・・女禍、本当にあなたが望まないのであれば、わたくしはタケルの精を婀陀那さんに返すつもりでいるのですよ―――
女:―――・・・・・。
〔しかし・・・女禍はそうしてくれるように頼みませんでした―――
ですが、今までのやり取りによって、ある程度の事が露呈してきたのです。
この培養槽に漬かっているモノは、本来女禍が過去においてあることを成そうとする為に、生前・・・自らの身体より摘出した生殖器官―――『卵巣と子宮』なのでした・・・。
そしてこの度、アヱカ(ヱニグマ)が採取してきたのは、過去には果たしてその思いを遂げることなく潰えた・・・
「ある者」―――女禍の想い人であったアベル某の血を引き継いでいる、タケルの精・・・
そして―――そこに見え隠れする事実・・・
しかし、今それを自分が望んでしまっては、タケルと婀陀那の愛の結晶は、産声を上げることはない・・・
その葛藤に苦しんでいたのです―――〕