≪六節:ある決断―――≫
〔私は―――自分の望みのために、他者の喜びであることを奪おうとしている・・・
果たして、それは人道的に赦される事なのだろうか―――・・・
今、女禍は、そのことに対して大きな引け目を感じると共に、葛藤をしていました―――
すると―――・・・〕
エ:でも―――女禍様はそんなことをしたりはしない!
他人の運命を弄んだりして、ご自分が倖せになろう―――だなんて・・・望んだりはしない!!
大:エルム―――子供は少し黙っていろ・・・
このことは、お前のようなのが口を差し挟んでいいことでは・・・ない。
エ:しかし・・・お父様―――!!
大:・・・フッ―――なにより、返答を即答で返さない・・・
返す事のできないコレの態度を見れば、火を見るより明らかだろう―――
エ:そ・・・そんなぁ〜〜―――
ア:大公爵、その様な物の云い方をするのではありません。
この方は、我慢に我慢を重ねたのです。
昔から抱いていた・・・「人間となる」―――その夢を・・・
他者の倖せや喜びに代えることで、その夢を願望を抑えていたのです。
〔自分の主である者は、そんな人道的にも悖(もと)ることはしたりはしない―――と、エルムは女禍を弁護しました。
そのことを、エルムの父親である大公爵は、一部の事しか知らずに舌の根を回すものではない・・・と、揶揄しました。
けれども―――そんな大公爵の弁(ことば)を遮る様に、ヱニグマは女禍の胸の内を言の葉にして現わしたのです。
永い・・・悠久の果てに・・・自分の願望を抑えた―――
その者の想いを・・・
そして―――〕
女:・・・いいんだろうか―――本当に・・・
エ:(え・・)女禍様―――??
ア:・・・わたくしはよいと思いますよ。
それに―――もう一つのあなたである<シャンバラ>を失ってしまった事で、あなた自身というレゾンデートルも薄まりつつあることなのでしょう。
女:・・・・そのことも気付いていたのか―――
エ:(え゛・・・)え゛え゛え゛〜〜―――っ??!
じ・・・女禍様の存在の意義が―――薄れているって?!!
大:―――そういうことだ・・・。
しかし、ヤリ口に関しては余り感心できるものではなかったな―――
それそのものを見たときは、かつてお前がブラックウィドウの首領を勤めていたときと、そう変わり映えはしなかったぞ・・・。
ア:あら―――・・・わたくしもどこかで焦っていたのですね。
なるべくは抑えるようにしていたのですけれど・・・。
それでは、よろしいのですね―――・・・。