<第四章;紡がれ征く未来>

 

≪一節;告知≫

 

 

〔皇城・シャクラディアの、人知れぬ区画―――「研究所」<ラボ>・・・

その場所の封印を解き、施設を使用できる状態にした人物こそ、パラ・イソ国女皇であるアヱカだったのです。

 

けれど・・・その真の正体とは―――

遙かなる過去に女禍と敵対し、敗れ去っていた・・・「ブラックウィドウ」首領・・・ヱニグマなのでした。

 

その名の示す通り、「純然たる悪意を持つ誰でもない者」とまで云われる、虚ろなる存在であったとされる者が、

性善の極致に立つ「女禍の魂」を受け継ぐことにより、以前とは逆の属性を孕む「アヱカ」という存在となり、

この世に生を受けたのです・・・。

 

 

けれども―――・・・今回の手口はアヱカも気負ったこともあってか、強引にコトを急きすぎた・・・と、云うこともあり、非難されて然るべきだと感じていたようですが、

今回の行動に至るまでの心情を吐露すると、意外な事実までも露呈してきてしまったのです。

 

 

それはそうと―――・・・

今回の本来の目的である『受胎』を、須らく終わらせた者は・・・〕

 

 

ア:女禍―――失礼しますよ・・・

女:あ・・・ああ、うん―――・・・

 

 

ア:さて・・・手間を煩わせて申し訳ございませんが・・・

 

マ:そうだな・・・余も、この目で受胎を確かめさせてもらったことであるし。

  だから・・・と、云って、触媒自体は汝自身の身体ではないのだから、捏造をする必要性がある―――

 

  そこで・・・だ―――余が思うに、ソシアル・ヘライトス・ヱリヤの三名には、事実を公表してよろしかろうと思う。

 

エ:え・・・えぇ〜〜っ?! あの子達・・・と、あの人も??

 

マ:当然だろう―――あの者達なれば、こちらの事情にも精通している。

  理解を示すだろうし、また口も堅い・・・。

 

  だが―――汝が扶養している者や、今のこやつの親しい者達には少々時間をおく必要がある。

 

ア:・・・そうですわね。

  それでは大公爵―――わたくしは自分の部屋へと下がっていますので、あのことをよろしく頼みましたわよ・・・。

 

マ:―――うむ・・・

 

 

〔かくして―――その五・六刻後・・・エルムにより呼び出されたソシアルとヘライトスは、この事実を知る者達によって、有無を云わされないままに女皇の偽の診断書を作成、

このときより、女皇陛下は原因不明の病にかかり、病床に就いた―――とされたのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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