≪三節;深まる謎・・・≫

 

 

〔そんな記憶も宛(さなが)らに、ヱリヤが驚いた事実―――

 

それは・・・昼間に、典医長であり軍医総監でもあるヘライトスが公表した・・・

 

女皇陛下の健康に、損ねる部分ありき―――・・・

 

当初は、度重なる戦乱に疲弊し、体調でもお崩しになられたのだろうか・・・

―――程度の思慮しかありませんでした。

 

ですが、どうして・・・そのお方がこの場所に―――?〕

 

 

ア:・・・ヱリヤ―――よく来てくれましたね。

  大公爵、総てを話しておあげなさい。

 

ヱ:うん・・・? ちょっとまて―――貴様・・・何者だ! 以前に、私と接見をした女皇陛下ではないな?

 

大;フッ・・・何のことを云っている、ヱリヤよ―――

  この者は確かに女皇陛下・・・だ、少なくとも、「今は」―――だが・・・な。

 

ヱ:―――なんだと?!!

 

ア:大公爵―――!

 

大:―――いづれ判ることだ、ヱニグマよ・・・

 

ヱ:な・・・に? ヱニグマ―――??

  なんだ・・・それは――― 一体何の悪い冗談だ!!

  あの穢れた存在が、今の女皇陛下であると?!! 笑わせるな!エルムドア!!

 

大:冗談などではない・・・余は、ただ真実を述べているまでのこと。

 

ヱ:うるさい・・・騙るな!! そんなことをして私の気を惑わせてなんになる!

  お前も知っていよう・・・大公爵―――私のグノーシスには、「真実を照らす焔」が備わっているのを・・・

 

  ―――見よ! この焔の揺らめきを!!

  ここにおはされるのは、紛(まが)う事なき清廉潔白とした「仁」の方だ!! これこそが・・・何よりの証拠だ!!

 

 

〔しかしヱリヤは、その女皇らしき人物を、その話し方に少々の違和感を覚え、以前に会ったことのある方とは違うのでは・・・と、したのですが、

そこをエルムドアは、どうにも不可解な物言い―――「今は」女皇陛下である・・・と、したのです。

 

しかも―――またエルムドアより宣下された、「ヱニグマ」という名に、一瞬身を強張(こわば)らせるヱリヤ・・・

 

かつて・・・そう、ヱリヤは知っているのです。

かつて、自分の母までをもその手先として加えんがために捕らえて洗脳し、女禍たちの組織に手痛いダメージを負わせたことがあることを・・・

 

それに、敬愛する盟主・女禍を大いに悩ませ苦しめさせ・・・

ついには、全面対決せざるを得なくなり、旧世界の文明を滅ぼさせた張本人・・・

 

そのことを、ヱリヤは自分の母であるスターシアからの口伝によって知っており、

時折・・・女禍が寂しそうな表情をするその主因こそが、母からの口伝で知り得た者であると判ったとき、

ヱリヤはヱニグマに対し、激しい憎しみを抱いたものだったのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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