≪二節;積年の邂逅≫

 

 

〔その一方―――驚くべきことに、コキュートス城最上層では、さある二者による邂逅・懇談が行われている最中(さなか)でした。〕

 

 

誰:ふぅ〜―――・・・ヤレヤレ、一体何を考えているのやら・・・。

  いいのかい―――総大将がこんなところにしゃしゃり出てきちまって。

 

ア:ガラティア―――不思議な因果ですね・・・

  過去に一度対峙したことのあるわたくしたち・・・以前はあなた方が、このわたくしを討ち参らせたものでしたが・・・今は、違う―――

 

ガ:(ガラティア;現在は過去に敵対していたカルマに籍を置いている。 しかし・・・作品を通じてみると、そこにはある理由が―――)

  フフ・・・どうやら、こっちが思っていた以上におセンチだったんだね―――ヱニグマ・・・

 

ア:そのようなものではございません・・・それに、あなた方二人の苦労も最たるもの―――わたくしはこの度の争いでそのように感じました。

  さぁ・・・今一度、ご姉妹でじっくりと話し合われてください―――

 

 

〔そこにいたのは―――ガラティアとヱニグマ・・・

遥かなる過去にも、やはり敵同士として対立した二人でしたが、奇しくも今回は攻守が逆転しているからなのか、感慨も一入(ひとしお)にしてあったようです。

 

けれど・・・ヱニグマ―――アヱカにしてみれば、女禍の二人の姉が望まざるべくにして敵対勢力であるカルマに与(くみ)していることは、すでにお見通しだったのです。

だからなのか、カルマ本拠コキュートス城最上層に陣取る、現在のカルマ総帥の真の姿を見て愕然とする古(いにし)えの皇に、この場に出て姉妹で話し合うよう諭したのです。

 

そう・・・姉妹―――と・・・

 

 

女:なぜ・・・なぜ―――姉さんがここに・・・

  カルマ総帥、「魔皇」サウロン=カルマ=アドラレメクは―――アベルの分身はどこへ行ったのですか。

  お答えになってください―――ガラティア姉さん!

 

ガ:あいつには・・・罪があった―――そこにいる女ヱニグマの洗脳を受け、私たちに抗ってきたばかりではなく、

  当時極秘だった「神鉱・ジルコニア」の技術を持ち逃げして、ブラックウィドウに奔(はし)ってしまったんだよ。

  いいかい、女禍・・・良くお聞き―――あの鉱物はね、自らの意思を持つ・・・しかも、手にした者の意思をよく汲み取り、願いを成就させるための力添えもするもんなんだ。

  それが心根の善い人間だったならば、私も何の文句をつけたりはしない・・・けれどね、もう一人のアベルであるサウロンは、ヱニグマの欲望から生まれ出た、悪しきドールでもあるんだよ。

 

女:そんな・・・そんな言い訳は聞きたくもない―――!

  あの時のアベルは・・・もうどうにもできなかったんです―――それなのに、この私が怖気づいてしまって・・・

 

ガ:だから・・・なのかい―――もしかすると、今回の戦いでも何とか改心をしてもらうよう説得にあたろうとしてた・・・

女:もう・・・元の関係に戻ろうと云うのは、叶わぬ願いなんでしょうか・・・

  アベルも―――ブリジットも―――カレンも!!

 

ガ:そいつは虫が好すぎると云うもんだ、お前・・・ついこの前に自分の願いを一つ叶えたばかりじゃないか。

女:えっ・・・私の―――願い?

 

ガ:とぼけるんじゃないよ、お前が・・・一つの身体に二つの魂を宿らせることに限界を感じたとき、過去に摘出していたお前自身の生殖器で子を成したばかりだと云うじゃないか。

  莫迦な子だよ・・・お前は―――デルフィーネに続き、永遠に近い命を持っていながら、みすみすそいつを手放そう・・・だ、なんて―――

  いいかい、人間と云うのはだね―――

 

女:判っています・・・彼らは信念が弱く、いかに脆い存在であるかと云うことを―――それは、私の友であった者達がそうであったように・・・

 

ガ:だったら・・・なぜ―――?

 

女:彼らは脆い―――・・・脆くも儚い存在・・・でも私は、彼らの生き様と云うものに一筋の光を見たのです。

  少なくとも、アベルはサウロンに分かたれるまでに―――ブリジットはミトラとなるまでに―――カレンはニルヴァーナとなるまでに―――・・・

  もう・・・彼らのオリジナルは存在しません―――けれど、人間だった時の彼らの眸は輝いていました。

  明日、もしかすると死んでしまうかもしれない・・・そんな希薄な運命だと知りながらも―――!

  それに・・・姉さんは知らないかもしれないけれど―――彼らの子孫は人間だった彼らにそっくりなんですよ・・・。

 

 

〔そこにあったものこそは、低俗な者風情が首を突っ込んでよいものではありませんでした。

 

総ては過去の出来事―――・・・女禍たち三姉妹が、この惑星に飛来した目的譚(もくてきたん)云々(うんぬん)は、また別のお話しで述べることとして、

少なくとも、今現在のやり取りで云えたこととは、総ての要因は過去にあったと云えたのです。

 

そこでは、女禍の苦労は一入(ひとしお)にしてありました。

けれどもそれに勝る達成感と云うべきものも同時にあったのです。

 

「盟友」―――と、呼べる仲間達・・・それは、艦関係者(クルー)や、他の惑星で救ってきた者達ではない、

紛れもなくこの蒼き天体に育まれてきた、純粋なるこの惑星(地球)出身者たち。

そんな彼らと出会い、数奇な運命を共に辿ってきたことを、女禍はむしろ千金にも値する『寶物』のように感じてさえいたのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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